テクノロジーではなく、あなたのためのサービスを提供する

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本サイトでは、これまで多くのIoTやAIを活用したソリューションを紹介してきた。その多くが新たな技術を活用した、いってしまえば「スカした」ものが多かったが、今月、大阪のハッピーコンピュータ社が非常にコテコテなサービス、その名も「風呂空いている君」を発表した。

コロナ禍で混雑状況を計測するニーズが増えるなか、AIカメラや赤外線センサー等を使った計測サービスが出てきている。お客様によって様々な環境があり、どのような方法がもっとも最適化は一概には言えないため、多くのサービスでは、ウェブサイト上ではコアなテクノロジーや事例を紹介したうえで、実際に提供するソリューションはお客様の状況に応じて提案することが多い。

対して「風呂空いている君」は、その名の通り、宿泊施設における大浴場の混雑状況を可視化するIoTサービスなのだが(1)浴場にクリップを起き、脱いだスリッパにクリップをつけさせる、(2)クリップ置きのカゴ下に計量マットを設置する、(3)5分毎にカゴの重量を計測して混雑状況を推測する、とのシンプルな方法で対応している。この方法であれば、AIカメラや赤外線センサーなどを活用する方法に比べると、位置調整や設置工事、電源確保、停電対策、カメラ活用上の課題(プライバシーなど)などの問題がなくなり、低コスト化が可能となる。

本サービスのスタンスがよく見られるのが、ウェブサイト内のよくあるご質問内にある「クリップが使われないと混雑度を測定できないの?」との質問だ。

テクノロジーカンパニーの多くは、精度の改善をテクノロジーで解決しようとする。このような疑義があれば、場合によってはクリップ以外の手法についても検討してしまうかもしれない。ところが同社は「クリップや入れ物にこだわる」で解決しようとしている。クライアントがもとめているのはテクノロジーではなく解決策である以上、解決策としてナッジのほうが適切であれば、それを採用する。極めてまっとうなアプローチだ。

ベタベタなネーミング、低価格化のための仕様の割り切り、パッケージ化、そしてターゲットに刺さりやすいウェブサイトのデザイン。イノベーターやアーリーアダプターの先、キャズムを越えてマジョリティーを掴みにいくには、これぐらいでなければならない。それぞれ企業によって戦略は異なるだろうが、テクノロジーを売らんがためのテクノロジーカンパニーは、このサービスから学ぶことが多い。