デジタルサイネージで見たいコンテンツに関する調査

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街ナカに増殖を続けているデジタルサイネージ。その中でもLIVE BOARDを見かけることがこのごろ非常に多いと思う。今回そのLIVE BOARDが、デジタルサイネージのコンテンツに関してまとまった調査を行い、興味深い結果の一部を公開した。これが示唆に富んだ内容になっているので考察を加えてみたい。

まず最初に、今回の調査方法をLIVE BOARDのプレスリリースから抜粋しておく。

<調査概要>
調査手法:Web 定量調査 *位置情報を元にしたアンケート・ココリサ※1を活用、事前調査・本調査一体型で実施
モニタ:dポイントクラブ会員
アンケート対象エリア:LIVE BOARD(デジタル OOH)125面
対象者:15歳~69歳の男女個人
調査期間:2021年4月30日~5月31日
調査人数:29,332名
※1 ココリサとは、事前許諾を得たスマートフォンユーザーの携帯電話基地局の位置情報※2をもとにアンケート依頼をする株式会社ドコモ・インサイトマーケティングが運営するサービスです。 その場所・その時間にいた人へ確実にアンケートが実施できます。また、匿名性を確保した形でのみ、位置情報とアンケート結果を紐づけて分析することも可能です。
※2 携帯電話基地局の位置情報とは、端末がどの基地局圏内に存在しているかを示す情報です。事前の情報利用の同意をいただいた方についてのみ利用しています。また、GPSの位置情報は用いていません。
◆媒体面概要
LIVE BOARD:全国9都市 (東京、北海道、宮城、神奈川、千葉、埼玉、愛知、大阪、福岡) 77ヵ所のデジタルOOH
URL: https://service.liveboard.co.jp/screen

ネット調査の登録者がサンプル集団であるので、若干は能動的なバイアスがかかっているかもしれないが、それがどういう方向に傾くのかは判断しづらい。同社の媒体面付近にいるサンプルに対して実施したものということだ。デジタルサイネージにおいてこうした規模でコンテンツに対しての調査を行った例はあまり例が無いように思う。質問内容を確認していないが、これは同社のような広告利用をメインにしているデジタルサイネージを対象、または前提にしたものだろう。

さて、調査結果を見ていきたい。一般男女約 3万人に聞いたところ、


【1位】天気予報        37.2%
【2位】ニュース (全国)   34.4%
【3位】近くのお店・施設の情報 21.6%
【4位】ニュース(ローカル)  17.4%
【5位】新製品・サービスの情報 16.4%

となっている。これはおそらく複数回答だろう。またおそらく回答は選択方式だと思われる。「天気予報」というのはやはり普遍的なニーズがあるようだ。属性に関わらず、天気のことを知りたいというのは万人が思うことだ。2位と4位に「ニュース」が来ているところは素直に受け取っていいのだろう。こうしたアンケートにおいてニュースというのは聞かれたら「はい」と答えがちではあるが、新聞やテレビのニュースの接触が減り、スマホのニュースアプリに代表されるように、見出しだけを一瞬で取捨選択する習慣がついているので、見出しといわゆる5W1Hのストレートニュースがニュースのデフォルトになっていることを表していると思う。

深堀りして聞いたみたいのが、3位の「近くのお店・施設の情報」である。これはデジタルサイネージのメディア特性的にはありがたい話なのだが、問題はその中身である。お店の情報とは具体的には何なのか。看板的な店舗情報なのか、ハッピーアワーなどのおトク情報なのか、あるいはコロナ禍においては混雑状況なのだろうか。施設についても同様で、昔からよく言われる今から行けるライブや映画情報がダイナミックに表示されるようなニースについて深く聞いてみたい。いまはそれに適した媒体が事実上存在していないので、回答者もイメージができないだけなのではないだろうか。さらに言えば、特に居住地に近い場所ではジモティのようなスーパーローカル情報のニーズがあるのではないか。

今回の調査では、ロケーションごとのニーズをまとめたデータも公開されている。LIVE BOARDの媒体のあるロケーションにおいて、天気予報のニーズが高いのは居住地に近い場所とある程度は言えそうだが、それほど顕著でもないように読める。

近くのお店・施設の情報については店舗が多い場所が多いようにも読み取れる。

全国ニュースはオフィス街で上位になっている。これは仕事で活動している人は世の中の動きが気になる、といったことを表しているのだろうか。逆に下位ランクのロケーションに興味が湧いてくる。

全国ニュースとローカルニューを比較したグラフを見ると、吉祥寺と新橋では全国ニュースがかなり高いが、新橋はともかく、吉祥寺がビジネス街かと言われると疑問が残る。一方で札幌のすすきの、福岡の天神ではローカルニュースのニーズが高い。これはお店の情報ではなくローカルニュースのニーズだ。この理由はよくわからない。

これらは地域性を表しているというよりは、もっとピンポイントのLIVE BOARDの媒体付近での傾向値だ。よりピンポイントで個々の媒体設置や視認状況に大きく左右されるだろう。今回の調査で再確認できたことは、天気予報の強さである。だとすれば、同じ視点で考えると時計というのも天気予報以上にキラーコンテンツになり得るはずだ。そう考えると、10年以上前のUNIQLOCKや、

美人時計を思い出したくなる。

またロケーションに応じたコンテンツに対しての可能性も再認識できたのではないだろうか。いまは我々は常にスマホを持ち歩いて移動しているので、手のひらの中からいくらでも必要な情報にアクセスができる。ここで再検討が必要なのは、スマホで能動的にアクセスできるからデジタルサイネージでやる必要はない、ということでは全くないということだ。能動的ではない、いわゆるセレンディピティ、偶然の出会いも重要なのだ。この出会いには未知との遭遇だったり、感動であったりすれば最高なのだが、実際にはこんな高尚なレベルでもなく、たとえば天気予報においてゲリラ豪雨情報を表示してくれたら非常に有効なのではないか。ゲリラ豪雨情報はスマホで簡単に入手できるが、常にそれをチェックすることは決してないはずだ。たまたま見たサイネージで、真っ赤なレーダー画像を見ると、早く帰ろうとか、時間を潰そうといった行動を変えることができる。これこそがデジタルサイネージのメディア特性を最大限活かしたものだ。

今回のように、こうしたまとまったデジタルサイネージ調査から様々なことは見え隠れしてきた。こうした調査は継続的にまた複数実施されると精度も上がってくるはずだ。また前述のように、「近くのお店・施設の情報」の中身をぜひ深堀りしてもらいたい。