Ray-Ban Storiesは記録と記憶をマージさせるための次世代のスマホの姿を具現化している

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FacebookがRay-Ban Storiesというスマートグラスを発表した。しかし、実はザッカーバーグはグラスとは一言も言っていなくて、これは「Stories」なのがポイントではないかと思うのである。さらにあくまでもレイバンの製品という位置づけのようだ。現時点で筆者は現物を実際に体験していないので、公開されている情報をもとにしたこたつ記事であることをお断りしておく。しかしながらいわゆろPOV端末については実際にいろいろ試しているので、そういった視点からRay-Ban Storiesに関して妄想してみる。

Ray-Ban Storiesの詳細は要はこちらのレイバンの公式ビデオを見てもらいたい。映像にはザッカーバーグ自ら登場して説明を行っている。

実際のユーザー目線の使用レポートはこちらが非常に参考になる。

日本のネットでの評価では、ARを搭載していない、つまりディスプレイを搭載していないという点を厳しく評しているものが多い。確かにその通りなのだが、これはPOV(Point of View)カメラなのである。 もちろん、前述のビデオの中でもザッカーバーグが将来的にはAR Glassを目指すと言っているが、確かにいまはまだ現実的ではない。仮にどうにか技術的に実現できたとしても、歩行しない状態で使用するのであれば、OculusのようなHMDで問題はない。しかしあるきながら使うとすると、リアル風景とAR映像をどうやって混在表示させるのかに関しての答えが見えてはいない。リアル映像部分もカメラの映像にしてしまえば多少は楽だろうが、そこまでの処理をメガネ側単独で行うにはさらに技術課題やバッテリー問題が障害になる。そのために今はまだスマホの世話にならざるを得ない。

POVカメラとして見たとしても、Ray-Ban Storiesはかなりよく出来ているのではないだろうか。GASKETの過去記事でも何回も紹介しているように、POVを実現するにはどういう装着方法を選択するべきなのかについては一長一短がある。映像のブレのことを考えれば、最も揺れが少ないネック型が正解だが、その場合は単機能のPOVカメラ専用機ということになる。この点ではメガネ型であれば、既存のメガネやサングラスに組み込みが可能だし、メガネ自体はとてもポピュラーなものであるので、装着する側も装着している姿も違和感が殆どない。問題はメガネ型の場合は、カメラに加えて全ての電子回路とバッテリーをテンプル(つる)の部分に内蔵させる必要がある。これはなかなか難易度が高いが、Ray-Ban Storiesはバランスが取れているように思える。

もう一つ、ザッカーバーグの考え方を表しているのではないかと思われるのは「Stories」というネーミングである。決してRay-Ban GlassでもFacebook GlassでもなくStoriesなのである。ストーリーズ、物語、つまり生活の中に溶け込むような位置づけにして行きたいという想いが託されているのではないだろうか。生活の中での見たままの映像、自分の暮らしをSNSを通じて共有するということはすでにスマホのカメラで行われている。行われているというよりも、スマホというのはそういうツールであることがはっきりしているではないか。こうした生活を切り取って「記録と記憶をマージさせる」ことがテクノロジーの発達によって実現できるようになった。こうして考えるとStoriesというネーミングが非常に腹落ちするように思えるのだ。

こうして生活を切り取るためには、かつての「ライフスライスカメラ」では自動でインターバル撮影を行っていた。これは記録の視点からだけ見ると正解なのだが、記憶に観点ではゴミカットが大量に生成されてしまうものだった。動画や写真を撮影する時にはシャッターを押すという行為はどうしても構えてしまうし、そもそもシャッターを押すためには両手が塞がってしまう。そこでRay-Ban Storiesではボイスコントロールと併用してハンズフリーを実現させている。声を出せない環境ではワンタッチで撮影することもできる。

課題はプライバシーの扱いだ。いや、盗撮問題と言ってもいいだろう。ここは社会的受容性の問題である。街中に設置されるようになった防犯カメラに関して、プライバシー問題を指摘する声を聞くことは極めて少ない。これはデメリットがメリットを上回るからだ。こうしたPOVカメラが受け入れられるのかどうかは、ザッカーバーグにも予想がつかないのではないだろうか。それどころかFacebookはセキュリティ認識が甘いとまで言われてしまう。撮影中であることがわかりにくいという指摘も聞かれるが、ではそれがはっきりわかったら本当にいいものなのか。これらはいまの時代の社会が決めていくことだと思う。そのためにはメリットがデメリットを凌駕することができるか。結局は提供されるサービスの問題である。

現時点で日本での発売の有無、発売の時期は未発表である。10月にNABに参加する際に購入できたらと思っている。

【公開直前追記】一旦脱稿したのだが、Xiaomiから「スマートグラス」の新製品が発表されたようなので、こちらに動画をリンクしておく。