もう一つの3Dサイネージ

Digital Signage /

新宿の3D猫がデジタルサイネージ事例としては過去に例がないほど話題になったことは、すでにGASKETでも記事にしたとおりだ。この新宿の3D猫の影に隠れて、ほぼ同じタイミングで、ほぼ同じような3Dサイネージが登場していたことをご存知だろうか。

それが渋谷のシブハチヒットビジョンである。こちらにニュースリリースがある。シブハチヒットビジョンは既存の大型LEDの媒体で、3Dのコンテンツ放映は7月5日からとなっている。3Dの猫、クロス新宿ビジョンの放映開始は7月11日である。テスト放映はその少し前から始まっており、その時点からSNSでは大きな話題になっていたのは既報のとおりだ。ところが、渋谷の方はなぜか殆ど知られていない。筆者もつい先日、放映開始から2ヶ月近く経過して偶然見かけたという人からの情報で初めて知った。そこで早速現場に行って体験をしてきたのが下の動画である。

シブハチヒットビジョンは、渋谷のハチ公交差点の大型ビジョン群のうち向かって一番左側のビジョンである。非常に巨大で解像度も極めて高く、視認性も良好である。宮益坂の途中からもはっきり視認できる。

宮益坂の途中から見たシブハチヒットビジョン(Googleストリートビュー)

9月10日の昼頃の時点では、猫ではなく犬のCGと、このビジョンを固定している鉄骨を表現していた。なおiPhoneで動画を撮影したが、新宿クロスビジョンと同様にモアレが出てしまい、ビジョンをきれいに動画撮影することが出来なかった。これは撮影側の設定を変えれば回避できると思うが、デフォルトのiPhoneではこうなってしまう。

ニュースリリースにあるようにこちらが日本初なのである。ところがあまり話題になっていない。それはなぜか。

いくつか理由が考えられ、それは新宿との比較で考えるとわかりやすい。まずシブハチヒットビジョンはディスプレイが平面、2次元なのである。新宿クロスビジョンはL字型になっている。このため3D効果がわかりにくい。またコンテンツの違いも大きい。犬と猫の差異はさほどないと思われるが、いかにも3Dっぽいかそれなりにリアルかの違いである。実はナインティナイン(実写)が登場するコンテンツもあったようだ。これはかなり立体っぽく見えるのではないだろうか。

あとは掲出頻度の違い。30分近く現場にいたのだが、3D素材は上記のものが1回のみの掲出。これだと見るタイミング、撮影するタイミング、拡散するタイミングがなかなかない。筆者のように現場で30分も待つことは考えられない。一方の新宿ではかなりの頻度で掲出されるので、待っていなくても簡単に3D猫に会うことができる。ここは放映料金やセールス状況にも依存するが、話題性という意味ではへビーローテーションしたほうが効果的なことは言うまでもない。本来的な、いや従来の概念では、渋谷は極めて強力な媒体で、新宿は必ずしもそうではない。ところがすくなくとも巷の話題はここまで後者の圧勝だ。

シブハチヒットビジョンのような、ごく普通の平面ディスプレイでも、コンテンツ次第で3D効果を得ることは十分可能だ。何でもかんでも3D化すればいいということではもちろんない。その点ではナイナイの登場する素材は、最初は2Dで途中から3Dになるという演出も施されている。媒体の特性、広告商品メニュー、ローテーション、そしてクリエイティブをうまくマッチングできれば、他のデジタルサイネージでもインパクトのある利用が可能なはずである。2つ事例の優劣を論じるのではなく、これらの事例から得られることはデジタルサイネージにおいては非常に多いのではないかと思う。