江戸時代の有名絵画を、あえて巨大映像だけで鑑賞すること

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かの有名な「富嶽三十六景」、「風神雷神図屏風」などの有名絵師たちの絵が大画面で暴れ出す…そんな面白い体験をしてきた。大手町三井ホールにて2021年9月9日(木)まで開催をしている「巨大映像で迫る五大絵師−北斎・広重・宗達・光琳・若冲の世界−」だ。美術館のように自分のペースで鑑賞するというよりは、シアター形式で映像を鑑賞するようなイメージだ。有名絵画を大画面で、さらに絵にモーションをつけて動かすことによって新しい世界観を楽しむことができる。

会場は3つのエリアに構成されており、まずは解説シアターにて作品の解説をじっくりと聞く。細部まで大アップ大画面で映され、実物を鑑賞しているだけでは気づかないポイントなども知ることができる。

次に3面シアターの会場に移動をする。縦7m、横45mの3面ワイドスクリーンによる巨大映像空間だ。先進デジタル技術と高輝度4Kプロジェクターを駆使した映像と音楽のコラボレーションを楽しむことができる。

3面シアターの会場。席から撮影をしている人が多いが、自由にスクリーンの近くまで移動して撮影OK。

最後にdigital北斎×広重コーナー。超高精細デジタル画像による「富嶽三十六景」と「東海道五十三次」の作品を大型モニター12台で紹介されている。ここは美術展をめぐるような感覚でゆっくりと静止画を見ることがてきる。

筆者は葛飾北斎、歌川広重、伊藤若冲のファンで開催されている展示会に足を運ぶことが多い。実物を見たことがある上で、あえて身近に高画質で映像などを個人のPC、スマホで見ることができるこの時代にデジタルだけで大画面で鑑賞する面白さはどんな点があるのか。実際鑑賞をして気づいたことがある。

まず、大画面高画質で映し出されることによって、細部を積極的に自分で観察しなければ気づかないポイントを見ることができることは大きい。元の画像データの質に関わらず、プロジェクターで映し出すと場所や機材によってぼやけたりはっきり輪郭が映し出されないこともあったりするが、こちらの会場で映し出される映像は、細部を拡大してもまるで原寸の状態ですぐそこに存在しているかと思うくらい鮮明だった。

有名な絵画は展示作品にある一定の距離を保って鑑賞しなければならない。また、葛飾北斎、歌川広重など版画の作品は1点物の作品よりは制限は少し緩く、かなり近づいて鑑賞することができるが、作品自体小さなものが多いので細かい部分に気づかないことが多い。その分大画面高画質で映し出されることにより、細かい筆のタッチや人物の表情、細かい文字なども確認することができる。

次に、エンターテインメント性が加わること。1つの絵にいろんなモーションをつけて世界観を表現していた。ここは好き嫌いが分かれるかもしれない。静かな美術館でじっとひとつずつ作品を見て回るのが退屈だと感じる人、子供の教育でアートに関心を持ってもらうためのきっかけにするには良いかもしれない。作品をすでに知っていてさらに新しい視点で学びたいという方にとっては、今回の演出は多彩なモーションをつけて迫力を出すことがメインだったので、目的はあまり達成できないかもしれない。1つ目の解説シアターも、2つ目の3面シアターも上映が終わると次の部屋に移動しなければならないので、自分のペースで作品について考える時間はあまりない。ただ、これは今回のこの展示がこのような運用を行なっていただけであって、大画面高画質の演出と運用を別の方法で行えば後者のタイプの人でもより楽しめるようになるだろう。さらに、今回はデジタルのみで実物の展示はなかったが、2、3点展示するだけでも、実物とデジタルならではの良さを比較することができて面白いかもしれない。