自販機でTaxFreeショッピング

AI /

来る10月1日より、外国人旅行者向けの免税品の無人販売、つまりは「TaxFree自動販売機」が解禁される。アフターコロナでどれだけの外国人観光客が戻るかわからないが、旅行者、販売者双方にとって非対面で24時間、免税品販売ができるようになるわけだ。エッジAIテクノロジーが必須であるこの自動販売機について、あらためて財務省資料をもとに、機能要件をレビューしておこう。

要求仕様1 旅券情報・渡航情報の読み取り

「氏名」「国籍」「生年月日」「旅券番号」といった基本的な要件のほか、「在留資格」「上陸年月日」など、個別の情報をパスポートから読み取る機能を構築する必要がある。ICチップ搭載のパスポートに加え、ICが搭載されていない従前型にも対応が必要だ。また、在留許可情報等はパスポートに添付された認印シールからの読み込みとなる。

要求仕様2 非居住者であることの確認

免税で買い物ができるのは、「非居住者」(大雑把に言えば外国人)であることが要件であり、その確認プロセス機能を有する必要がある。基本は、購買者がリストから選択することとなるが、一部上陸許可の認証シール情報との照合が必要になる。

要求仕様3 顔写真との照合

パスポートに添付された写真と、現場で撮影した購買者とのマッチングにより、本人確認を行う。いまやコンピュータによる顔認証は特異な技術ではないが、画像データを外部のサーバー等へ送信することは認められないため、設置端末内、つまりはエッジコンピューティングが必須である。なお、性能としては「IC旅券との照合は1秒以内」「FARが0.01%以下の場合、FRRは1.5%以下であること」とされている。

要求仕様4 免税対象物品の取り扱い

購買者への説明に加え、販売上限金額の合法性を確認する機能を設けなければならない。また、国内での包装開封の有無を確認できる特殊な包装を行う機能が求められている。もっとも、自動販売機内で個々の商品を特殊包装する機能を搭載するのは非現実的だろう。最初から基準に適合した包装がなされた状態で、1つ1つ格納され、そのまま販売されるのが通例となるだろう。

要求仕様5 購入記録の国税庁への情報提供

国税庁のサイトのAPIをたたいて、販売実績を自動的に登録する機能が求められており、すでにAPIの仕様は公開され、テストできる状態にある。

要求仕様6 必要事項説明

免税対象物品購入が輸出目的である旨、税関手続きなどの説明、告知を行う機能が求められる。このコンテンツは、多言語対応のテキストや動画案内などが必須であろう。財務省の資料では音声や画面表示にくわえ、「印字」という表現があるが、この有無は相当に販売機の可用性を左右する要素なので、絶対に「紙」は避けたいところだ。

求仕様7 引き渡し時の本人確認

販売プロセスの最後として、商品の「引き渡し」がある。通常の国内商品なら、ガタン と商品が落ちてくるだけだが、免税品販売はそうはいかないようだ。引き渡す際にもあらためて「本人確認」が求められており、再度顔写真の撮影とパスポート写真との照合が要件として求められている。購買前のプロセスと共通化できると思われるが、注文時と引き渡し時でヒトが入れ替わる可能性を危惧しているのだろうか。いずれにしても、「要求仕様1」で一時保存した旅券の写真とのマッチングが再度必要であり、照合できないと、商品引き渡しを行わないルーチンを施さなければならない。代金決済とのタイミングで、少々システムフローが複雑になる気がする。

要求仕様8 販売停止

機能に不具合が生じたときは、自動的に販売停止でき、また、販売者が遠隔操作により随時機能を停止させることができる必要がある。

以上、財務省が示す要綱に従った要求仕様である。なお、こういったレギュレーションを遵守し、必要十部な性能を有することはもちろんだが、代金決済のバリエーション、アフターサービス、デジタルサイネージを用いた魅力的なプロモーションやスマホ連動など、日本らしいギミックな性能を「楽しめる」シーンづくりによって、ずいぶんと販売成績は変わるのではないだろうか。

今回は、”TaxFree”つまり日本の消費税をチャージしないための措置に限られている。酒税やたばこ税、いわゆるDUTYフリー対応はまだ先のようなので、当面は「工芸品」「衣料」「キャラクターグッズ」「化粧品」「装飾品」あたりがメイン商材となるだろう。