バーチャルオンリー総会本格化は来年に

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感染症対策で株主総会のオンライン化が浸透・加速化するなか、オンラインのみでの株主総会(バーチャルオンリー株主総会:本誌2021年2月5日2020年12月4日記事参照)について、去る5月20日、「産業競争力強化法等の一部を改正」法案が衆議院で可決成立し、現在開催中の参議院も滞りなく通過し、近々交付される見通しとなった。これによって、物理的な「場所」を確保し、株主を会場に来場させることなしに株主総会を合法的に開催することが可能になる。とかく牛歩な我が国の政治にしてはまずまずのスピード感といったところと受け止めたい。

しかし、この法律改正で、どんな株式会社でもそのまま任意に開催できるようになったわけではない。まず、今回認められる対象が、そもそも上場会社に限定されている。つまり、世の中のほとんどの会社は対象外であって、バーチャルオンリーで株主総会を開催すると、適法性を欠くことになる。

では、上場会社なら即、バーチャルオンリー株主総会が開催OKかといえばそうではない。「場所の定めのない株主総会が開催できる」旨、定款に定められていることが必要だ。しかもこの定款変更はバーチャルオンリー株主総会の議題として決議することは認められないとされた。まぁ確かに、会議の成立条件を未成立の方法で決定しても無効するのは理論的に理解できるが、なんとも堅苦しい。つまりはすぐには使えない・・・と思いきや、これには特例が設けられている。それは、改正法の施行後2年間にわたっては、「経産大臣及び法務大臣による確認」(その手続き方法は本日現在開示されていない)を得ることにより、バーチャルオンリー株主総会を開催できる旨の定款規定が存在するものとみなされ、定款変更をしなくてもOKというものだ。

第三条 附則第一条第一号に掲げる規定の施行の・・・中略・・・上場されている株式を発行している株式会社・・・中略・・・が、第一号施行日から二年を経過する日までの間に第一条の規定による改正後の産業競争力強化法第六十六条第一項に規定する経済産業大臣及び法務大臣の確認を受けた場合には、当該株式会社は、当該期間においては、その定款の定めにかかわらず、その定款に同項の規定による定めがあるものとみなすことができる。
産業競争力強化法の一部改正に伴う経過措置の定め(抄)

少々ややこしい表現だが、これまでの内容をまとめると、導入ステップは下表のいずれかの選択となる。

 年案1案2案3
2021年リアルかハイブリッド開催
<定款変更>
みなし規定適用で
バーチャルオンリー可
みなし規定適用で
バーチャルオンリー可
2022年バーチャルオンリー可リアルかハイブリッド開催
<定款変更>
みなし規定適用で
バーチャルオンリー可
2023年バーチャルオンリー可リアルかハイブリッド開催
<定款変更>
2024年以降バーチャルオンリー可
バーチャルオンリー株主総会のための定款変更と年度ごとの採択可否

仮に、改正法の施行が参議院を通過する直後(6月中旬?)だったとしても、ここ数か月以内に開催を予定する会社のほとんどはすでに会場を抑えてあり、ハイブリッド型での開催準備も進めているだろうから、会場のキャンセル料を払ってでもバーチャルオンリーで行うメリットは少ないと思われる。従って、将来的にバーチャルオンリーで開催できることにしたい会社としては、2021年の総会は無理してバーチャルオンリーとせず、ハイブリッド型(またはリアル開催)で開催し、定款変更をして次年度以降に備えるのが妥当な選択肢となろう。

ということで、法改正の効果は今年の株主総会にはあまり現れないこととなろうと予想される。まだ具体的準備が進められていない会社の一部が、何らかの事情によって定款変更をせずに、バーチャルオンリー開催をちらほらし始めるといった程度と推測する。つまりは、バーチャルオンリー株主総会の定着は2022年からということになる。

現行定款変更後
第3章 株主総会 (招集)
第11条 当会社の定時株主総会は、毎年6月に・・・(中略)・・・招集する。
第3章 株主総会 (招集)
第11条 当会社の定時株主総会は、毎年6月に・・・(中略)・・・招集する。
  (新設)2 当会社の株主総会は、場所の定めのない株主総会とすることができる
ソフトバンク株式会社の定款変更内容(同社;5月21日付開示資料より抜粋)