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最も普及しているエッジAIはドライブレコーダーではないか

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GASKETでは何度か述べているエッジAI。リアルタイム処理やサーバーとの通信の問題(費用や帯域、速度の問題など)、プライバシー保護、セキュリティの担保など、エッジAIの必要性は徐々ではあるが、認識されてきていると個人的には思う。

そんな中、ふと考えるとエッジAIデバイスとして最も普及かつ、機能戦争が起きているのは、ドライブレコーダーなんだということである。

例えばこちらだ。利用している消費者側からすると、ドライブレコーダーはすごく乱暴に言うならば単純にSDカードに動画録画するデバイスでしょ?ということになるのだが、実際にはハードウェア的にも、ソフトウェア的にも考慮しなければいけないことは山ほどある難しいデバイスでもある。

第一にハードウェアとしての信頼性。ご存じのようにクルマは振動がつきものだし、真夏の駐車時の車内温度はとんでもないことになる。それと事故が起きたときに、電源の供給が止まることも当然考慮しなければならない。このときに、SDカードをきちんとファイルクローズ処理してやらないとファイルがクラッシュして肝心の事故の映像が再現できなくなってしまう。(通常は電気二重コンデンサなどでバックアップしているようだ)

次に画像の品質だ。他のクルマのナンバーをきちんと読めるか、夜間も鮮明に撮影できるのか?こういった問題である。かつ、最近のLED信号機への対処も必要だ。LED信号機は人間にはわからないが、実際には点滅動作をしている。(人間は残像で見ている)この点滅動作と、録画する側のデバイスの撮影周期が運の悪いタイミングで一致すると、信号が消えた状態で撮影されてしまう。こうなると、事故の状況を説明できなくなってしまう。

そして最後はAI的な機能である。(ここがメーカーが付加価値をつけて差別化したいところ)あおり運転の検出、車線逸脱警告、割込み警告など、さまざまなAI的機能を搭載している。(AI的機能と書いてるのは、すべての処理が機械学習のアプローチで開発されているかどうかは、断言できないので)これだけのハードウェアやソフトウェアを搭載し、価格はハイエンドのものでも4~5万円というところだ。ターゲットの市場が膨大だから実現できる価格だろうが、それにしても安い。

一方、産業用途としてのエッジAIはどうかというと、“専用機”、という場面があまり存在しないため、コストが下がらない。ソフトウェア開発も個別になるので、汎用品としてのコストダウンがあまり見込めない。特にCV(コンピュータービジョン)は設置環境に対して脆弱であり、ドライブレコーダーように利用場面を限定できない。(限定してても開発者はえらい苦労しているだろうけど)

ドライブレコーダーをエッジAIデバイスというハードウェアとして捉えた(定義)した場合、エッジAIデバイスとしてある意味最も“完成”されたハードウェアであることは間違いがないと思う。(ローコスト化のために、CPUやAI機能に関しては制限が多いだろうけど)設置してすぐ使えるという汎用の場面がどれくらいあるか、サブスクリプションのようなお手軽なモデルが構築できるか、解決しなければいけない課題が沢山あるのも事実だ。しかし、メーカーがドライブレコーダーを汎用エッジデバイスとして再定義できれば、面白いビジネスが生まれる可能性はあると思う。