IT教育はセットアップから

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ITリテラシーが深いとは全く言えない家人(教育に携わっている)がこの春に、「GIGAの準備がやっとできたみたい」と聞いて、スマホの「ギガが足りなくなった」という輩もいるらしいので、てっきり共有ストレージの容量拡大のことでも言っているのかと思ったが、そうではなく、学校教育におけるICT環境の整備のことを文科省がGIGAスクール化と称しているのだと教えられた。(GIGAはGlobal and Innovation Gateway for Allの略だそうだ)

まずは、小中学生1人1台の端末を配し、基礎的な操作を習得、ネットを通じて様々な情報収集を行い、学習に役立てるような環境づくりまでが第一歩となっている。もちろん、文科省も、そういったツールを用いて「何をやるか」が重要であることは十分に認識したうえで、まずは何は無くともハードウェアや基本ソフト、ネット接続環境を整えようというのは順番として理解できる。

今頃このレベルなのか・・・ということをここで批判しても仕方がないし、永遠と思える準備期間と、愕然とするような導入トラブルについても目をつぶろう。1日も早く、誰もがフツーに、ストレスなく端末を使いこなし、ネットから様々な情報を取得し、活用できるようになってほしい。そして、皆が最低限のICT、ITリテラシーをもち、(ここがGIGAの目的ではないが)その中から高度なエンジニアが一人でも多く育ってもらいたいと心から願うばかりだ。もちろん、小中学校の音楽や美術の授業でアーティストが育つわけでもないことと同じく、突出したITエンジニアがGIGAスクールで醸成されることは期待しないが、そのきっかけさえ教育メニューに存在しなかった平成時代と比べると牛歩ながら大きな進歩といえるだろう。

ただ、このたびのハードウェアのセットアップに際して、一つだけ、ちょっともったいないなぁと思った点があったのでここで書き留めておきたい。

上表は、iPadにおける、学校教育特有のアクセス制限などの初期設定に関するガイドラインである。同様にWindows版、Chrome版(なんと、Chromeマシンも配している。私は触ったことがない。)がある。これも見ると、一般的なウィルス対策に加え、いわゆる「有害サイト」へのアクセス制限、起動制限、フィルタリングでガチガチだ。何かと心配な親御さんとしては一安心。文科省の立場としても理解できる。これらのティーアップをへて、子供たちにPCが与えられるのだ。そして、授業では、ネットの世界に存在する様々な危険性や、ウィルス感染による被害そしてそれらを回避する方法は学ぶだろう。

ところで、このセットアップは、誰が行うのかといえば、専門アドバイザが配置されるとはいえ、作業そのものは担当教員がせっせと1台1台を行うのだそうだ。ベンダーにやってもらえばいいと思うのだが、予算の関係で無理とのこと。であるならば、このセットアップから、子供たちにやらせてはどうか?と思う。というのは、学校を離れ、プライベートで使ってみようとなると、PCもタブレットもスマホも、「素」の状態で提供されるため(そうあるべきだ)、こういった初期設定は自分で調べ、判断、取捨選択していかなければならないからだ。相談者がいたとしても、最終的には自己責任だ。

システムの守りを固めるのは、机上の知識も有用だが、経験値もかなり重要だと思う。常に教科書にない手口が生み出されるからだ。それに対処するためには、最初からその世界が「見えない」ようなセットアップをして与えるのは、あたかもベタ踏みしても40km/hしか出ない車を与えられて練習するようなもので、危険性を体得できるチャンスを失う気がする。少なくとも、防衛策をセットアップする経験をしておくのは無駄ではない。長年利用している筆者でも、PCから突然謎のメッセージが発せられ、(それが正常なものだとしても)対応に悩むことは結構ある。特別にセキュリティの知識も、ネットの裏世界を知るわけではないが、それでもまぁなんとか地雷を踏むことなく、無事に使用し続けているのは、試行錯誤しつつも自力で「素」からセットアップしてきた経験値が高いからだと思うのだ。