日本の飲食店のDXの実情

IoT /

先日久しぶりにファミレスで食事をした。最近は仕事で外出することも減っているし、そもそも外食が減っているので1年以上ファミレスに行っていなかったように思う。そこで体験した一連のことで、日本の飲食店のDXの課題を感じたのである。

食事をしたのはすかいらーくグループのジョナサンである。テーブルに付くと紙のメニューもあるが、各テープルにタブレット端末が置かれている。これはデジタルメニューと注文端末を兼ねている。正式にはデジタルメニューブックというようで、こちらの使い方を示す公式動画がある。端末は店内のWiFi接続されている。

この端末の操作性は、特別悪いということはない。カートに入れてから注文するプロセスが分かりにくいのだが、まあ普通といえば普通である。画面上にクーポンというボタンがあるのを見つけて、そういえばSmartNewsにクーポンがあるのを思い出した。セットドリンクバー329円が186円になるものだ。143円も安くなるので使わない理由がないので、クーポン番号「363」を端末から入力した。細かいことだが、クーポンを思い出す前にすでにカートに入れていたのだが、この状態からクーポンは適用されない。クーポンを行使するためには、先にクーポン番号を入力する必要がある。そもそもこの端末にクーポンボタンがなければそれをすっかり忘れていたわけで、さて、クーポンの意味は?という話は別の機会にしておく。

無事に注文が決まったので注文を完了させた。しばらくして注文した料理がすべて運ばれると、店員が会計用の紙の伝票を持ってきた。ここには注文内容と会計用のバーコードが印刷されている。食事を終えると、伝票を持ってレジに向かう。デジタルメニューブックでは会計はできない。決済方法としては大手ファミレスチェーンだけあって、考えられるもの全部に対応しているのではないかといった感じだ。

ジョナサンで使える現金以外の支払い方法

ここでなんとなく現金で支払ってみようと思った。こうした大手チェーンやコンビニ、スーパーでは、現金の支払いの場合は紙幣やコインを店員または客が投入すると、それを読み取って釣り銭を自動で出してくれるものが多い。この店もそういうタイプのレジで、現金を投入するのは店員だった。ところが渡した5000円札が読み取り時に詰まってしまい、これを取り出して改めて操作するのに3分以上を要した。

これにはこういったフローと複数のシステムと端末が介在している。
・店内WiFiに接続されたデジタルメニューブック(アンドロイドタブレット)
 あくまでも注文のみで、この端末で決済はできない
・注文を厨房側に伝える仕組み
・料理と紙の伝票を持ってくる
・紙の伝票を持ってレジに行く
・現金またはキャッシュレスで支払い
 現金読み取り機または複数システムに対応した決済端末
・レジで紙のレシートが印刷される

これは中国あたりの普通の店、日本でもマクドナルドであれば
・テーブル番号が記載されたQRコードを客のスマホで読み取る
・WEB上のデジタルメニューで選択して、スマホ決済すると注文確定
・厨房側に注文情報が伝わる
・料理が到着
・レシートはデジタルのみ

こうした複数の端末やシステムが連携することなくバラバラに存在しているのが日本の飲食店だ。各システム感を連携させるために人間や紙や現金が存在している。日本では20年以上かけてこうしたシステムがバラバラに展開されてきたからこうなるわけだが、中国などではいきなりスマホだけで全てが完結してしまうわけだ。踏襲すべきシステムが存在せず、スマホだけで実現できてしまう。すかいらーくチェーンでもすべてをスマホに移行すればいいと思うのだが、おそらくは、スマホが使えない人をどうするか、現金決済が相変わらず多い、といった理由があるのだろう。

スマホが使えない人は一定数存在するのだが、そこは店員が店のスマホで代行すればいい話だ。支払いに関しては上で紹介したように、頭がくらくらするような多様な支払い方法が混在している煩雑さと、現金を扱う煩わしさがどうしても残る。ファミレスのような営業形態であればは先払いでも成立しそうな気はするが、ある程度の高級店だとそうは行かない部分もあるのはわかる。欧米ではワイヤレスのカード決済端末をテーブルまで持ってきてくれるのは当たり前だが、日本ではなかなかお目にかかることはない。

今回ファミレスで体験したこととその背景を考えると、これは日本のDXの課題の縮図ではないだろうか。よく言われるように、できない理由はわかった。だが決してできないことではない。一番のネックはやはり現金という存在と、もう一つは各種ポイントなのだろう。前者は給与のデジタル払いが進むと変わっていくものなのだろうか。後者はシステムで対応できる話だと思う。

今回の例で言えば、デジタルメニューブックを導入する際になぜ端末で決済できるようにしなかったのか。現金客が多く、複数決済方法が混在し、支払ったかどうかがわからない・・・・といった理由があるのだろうが、中国式?にすれば100%ではないけどほぼ解決すると思う。他の選択肢がなければ老人だろうがそこに従うしかないし、本当に必要なら完全アナログオペレーションも残せばいいだけの話だと思う。