マンションなどでエッジAI顔認証で”置き配”

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宅配国内最大手のヤマト運輸の小口貨物取扱量は、今年1月単月で前年比22.9%増、今年度10か月の累計では15.7%増と発表されており、ネット通販の拡大に加えコロナ禍の巣ごもり需要の増大により大忙しの状態となっているようだ。

宅配業者の大きな悩みの種は、「不在による再配達」であったが、時間帯指定、コンビニ受取、宅配ボックスの普及に加え、「置き配」が今や当たり前となり、それぞれ一定の成果をあげている。筆者も少なからずオンラインショッピングの頻度は増えたが、「置き配」(時に、「これ置いてくのか!?」と思うこともあるが)によって、再配達の頻度は明らかに減った。

おそらく、物品の受領(所有権移転)の法的な問題とか、盗難や破損の補償、家に誰も居ない目印になってしまうなど、消費者団体や関係省庁が課題だ!対策だ!などと言ってる間に、コロナによる社会の混乱、需要の急拡大やドライバー不足などを背景に、現実的な対応が先行してしまい、「別にこれでいいじゃん」となった感もある。盗難や悪戯の恐れの少ない日本ならではのやり方だ。個人的には何の問題も感じないので、このまま進めてほしいと思う。

さて、戸建住宅や特にセキュリティゲートのないアパートではこの「置き配」も有効だが、セキュリティの整ったオートロックマンションでは、常駐のコンシェルジェや個配ボックスがない限り、対応が難しい。おそらく新築物件では、最初から個配ボックスが設置されていることも珍しくないだろうが、一般には「後付け」しかなく、そのスペースや設置コストが問題となる。要は、正規の配達員に対し、なんらかのエントランスキーの解除手段を持たせればよいのだが、カギを持たせたり暗証番号などを教えるわけにもいかない。そこで登場したのがエッジAIによる顔認証システムの活用だ。

プロパティエージェント(東証1部:3464)は、去る3月2日、子会社のDXYZ社が「オートロックマンションへの”置き配”を可能とする顔認証技術に関する特許」を取得したと発表した。

エントランスのオートロック開錠に必要な担当配達員の顔情報及び配達時間等が予め登録され、配達員がエリア内のマンションに訪れた際に、自身の顔画像、配送時間帯情報とのマッチングがなされ、合致すれば開錠される仕組みだ。 エントランスで撮影された画像はマンション備え付けのエッジAIにより認証された配達員の情報と照合・判定されるため、マンション来訪者の画像データは外部に送信されない仕組みだ。なお、特許の対象はこの画像診断そのものではなく、配達完了情報などのマネジメントの仕組みといった総合的なものとなっている。

【課題】所定の配達員のみが所定のスペースに入ることを認容するとともに、この所定のスペースに入った配達員によって荷物の受取人により指定された場所に荷物が置かれたら受取人に配達完了通知を送ることができる管理サーバ、配達管理方法、プログラムおよび記録媒体を提供する。

特許第6829789号:管理サーバ、配達管理方法、プログラムおよび記録媒体 図1より 転載

【解決手段】管理サーバ10は、配達員のエリア情報および顔画像に関する情報を受け付ける登録情報受付手段14と、受け付けた配達員の顔画像に関する情報を、当該顔画像に対応する配達員により荷物が配達されるエリアのエッジ端末44A~44Fに送信する登録情報送信手段16と、荷物の配達に関する情報を受け付ける配達情報受付手段18と、配達完了通知を受け付ける配達完了通知受付手段24と、配達完了通知を受け付けると、荷物の受取人の端末50に配達完了通知を送信する配達完了通知送信手段26とを備えている。

プロパティエージェント社では、従前より、スマートフォンを活用した顔認証iDプラットフォーム(FreeId)を有し、オフィスやマンションの入室管理や、店舗における決済機能などに活用する仕組みを保有していたが、今後、この配達員の認証サービスを順次拡大・展開することを目論んでいる。

なお、実際の配達員は必ずしも宅配業者のプロパー従業員だけではなく、短期アルバイトや外注業者が担当することもあるため、配達員の顔情報のマネジメントには、運営上の労力が必要だろう(登録以上に「削除」が課題だろう)。だが、少なくともこれにより配達率は格段にアップするため、配送事業者にとっても、配送員(実配送件数によるインセンティブがある)にとっても、そしてユーザーにとってもメリットは大きいに違いない。