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テレビ放送が不便なのはレジュームできないからではないか

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若者のテレビ離れという話は耳にタコができるほど語られている。それはその通りである部分もあるし、そうでもない部分もある。こうした議論でよく言われるのは、番組内容が若者向きではないという指摘である。確かにそれはある。だが筆者が先日ゲームに詳しい人と話していてさらっと指摘されたことは、「テレビはレジュームできないからねえ」という話である。

何を言っているのかわからない方も多いだろう。筆者も最初は意味がわからなかった。ゲームの世界では、随分前からプレイ中にトイレに行きたくなったとか、眠くなったとかいう場合に何も考えることなくその時の状態が保存されて、あとから何事もなかったように続きからプレイできるのだ。もちろんオンラインゲームなどで相手がいる、同期型のゲームではそれが困難であることは言うまでもなく承知している。

テレビはリアルタイムでリニアな編成を持っているがゆえに、NetflixやYou Tubeのような自分の都合に合わせて視聴を開始する、いわゆるオンデマンドではないから時代遅れであるという指摘は確かに理解できる。これもほんの10年くらい前までは、レンタルビデオは返さなくてはいけないから見るものであって、そもそも見たいものなどは存在していない、という時代が見る見るうちに過去のものとなっている。見たいものを見たいときに見たいもので見る、という話がいわゆるオンデマンド視聴の優位性を語るものだ。

これに対して「レジュームできないから」というのは、賞味期限切れのネタだがチコちゃんが教えてくれそうな卓見のように思う。前述のレンタルビデオの話のように、実は人間には見たい映像コンテンツというものはそうそうあるものではない、と筆者は今でも思っている。人間は10年や20年で変わるものではないからだ。だが、途中でやめられて、そこから復帰できるというのは、コンテンツに対する僕らの意思の話ではなく、自分の都合の話なのである。見たいものがなくても、他にやりたいこと、やらねばならないこと、大切なことが当然あるのであって、レジュームはそこを見事に充足してくれる。

そう考えると、いまでもリアルタイム放送はDVRなどの追っかけ再生を使えば可能である。この追っかけ再生をさせるためには、ローカル(家庭)で録画している前提が必要だ。そんなことをするのは現実的ではない、とこれまでちょっと前まで思っていたので、クラウドDVRでやればいいと指摘していたが、録画媒体のさらなる大容量化とエンコード処理の高速化で、家で全部録画すればいいという状況になり始めているような気もする。これはiPodが出る前に、今で言うところのSpotifyのようなサービスが一気に主流になると思っていたが、実際には手元のHDDに録音したiPodやその後のiPhoneが正解だった話と同じだ。

テレビはオンデマンドニーズに応えるよりもレジュームニーズに応えるべきで、この2つは微妙に異なる。そこを現実的なサービスに落とし込むには、Spotifyが行っていることをベンチマークすると答えが見える。そしてYou Tubeはすでにそこに気が付き始めているように思う。