横須賀・総武快速線の新型車両E235系のデジタルサイネージ

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横須賀・総武快速線に新たに投入された新型車両、E235系のデジタルサイネージをやっと体験できたのでレポートしておきたい。投入は2020年の12月21日からだが、なかなか実車に遭遇できなかったが、運用状況をネットで確認して、遅ればせながらの報告となる。

今回投入されたE235系は、すでに山手線に投入されている車両と基本的には同じもののようである。それまでのE217系にはデジタルサイネージディスプレイスは搭載されていなかった。それは217系の投入が1994年12月であるため、最初に山手線にトレインチャンネルが投入された2003年よりも9年も前の車両であるため、タイミングがうまく合わなかったためだろうか。

今回最新型が投入されたために、満を持して?ディスプレイも導入されたことになる。ドア上のトレインチャンネルに加えて、車両中央部のまど上チャンネル、連結部部にサイドチャンネルが設置された。これによって1車両当たり最大で36面ものディスプレイが搭載されている。

ドア上のトレインチャンネルと連結部分のサイドチャンネル
車両中央部のまど上チャンネルは3面連動表示が可能

興味深いのは、これらのディスプレイは環境の明るさによって輝度が自動で切り替わるようになっていることだ。下の動画は上り線が横須賀駅に到着する前のトンネルから出た時のものだが、外光の状況に応じてディスプレイが明るくなる様子を確認できると思う。なぜか左右は同時に反応しない。

他のトンネルを通過するときにわかったことだが、単純に外光の明るさを検知しているだけではないようだ。他の短めのトンネルに入った場合は輝度の変化はないのである。どうやら車両の位置や、日の出や日の入りがプログラムさせているようで、なかなか細かい設定になっている。

この新型車両では、グリーン車においてフリーWiFiサービスが提供されている。SSID JR-EAST_FREE_Wi-Fiに接続し、メールアドレスを登録すると利用できるようになる。

SSIDはJR-EAST_FREE_Wi-Fi
利用に際してはメールアドレスの登録が必要だ

どれくらいの速度が出るものなのかを試したところ、逗子駅に停車中のタイミングで22Mbpsであった。同じ場所でNTTドコモのLTEは36Mbpsであったので、スピードでは劣るが、なんと言っても無料である。走行中も接続速度はあまり変化することはなかった。ただし、このときは土曜の昼間でグリーン車には乗客が非常に少なかったので、満席になる平日の朝夕のラッシュ時にどうなるかはわからない。

逗子駅に停車中の速度
同じく逗子駅停車中のLTEの速度

このフリーWiFiはグリーン車のみでの提供となっているが、グリーン車の前後に連結されている普通車側でも使えるものか試してみた。下の写真は連結部分の普通車側での速度だ。使えなくはないのだが接続はあまり安定せず、実用的とは言えなかった。

またグリーン車については、すべての座席の肘掛け部分にコンセントが設置されている。すべてのプラグに対応しているわけではないが、プラグ部分の幅がある程度可変である。これは座席前のテーブルにノートPCを置いての作業が電源を気にすることができるという嬉しい仕様である。もちろんACアダブターを持ち歩く必要がある。

肘掛け部分のACコンセント

なおグリーン車には広告利用のディスプレイはなく、運行情報を表示するものが前後に2面設置されている。

連結部分の進行方向左側には運行情報を表示するディスプレイ

また、E235系には新たに防犯カメラも設置されている。写真の右側の黒い部分がそれだ。E235は4ドア車で、この防犯カメラはドア上のディスプレイ横に千鳥に設置されている。この位置からだとディスプレイの視認状況をAIなどを使って計測することはできそうだが、少なくとも現在はそういった機能は実装されていないと思われる。

こうしたオーディエンスメジャメントに対応している事例は、現時点では世界でもこのGASKETのメディアオーナーであるビズライトテクノロジー社が設置運用している、埼玉高速鉄道(東京メトロ南北線、東急目黒線直通)でのダイナミックビークルスクリーンだけだと思われる。

黒い長方形部分の内部にカメラがある

こうしたいい事ずくめの新型E235系なのだが、筆者として一つだけ残念なことがある。それはすべての座席がロングシートになり、東京方の3両にあったボックスシートが無くなってしまったことだ。横須賀・総武快速線は長距離の電車で、観光スポットも多い。ボックスシートに対面に座って話をしたり、お弁当を食べたり、時には仕事帰りに軽く一杯、なんてことがやりにくくなった。これも時代の流れであって致し方ない、ということだろう。

新型E235系は執筆時点で3編成しか走っていないので、なかなか乗車する機会に恵まれないかもしれないが、今年度は8編成120両、最終的には2023年度に754両になるとのことだ。