ラズパイベースの一体型PC「DevTerm」と企業パーパス

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Raspberry Piをベースにした一体型コンピュータが登場した。Raspberry Pi自体はシングルボード基板でしかないので、実際に使うためにはインターフェイス機器を接続する必要があるのだが、こうした必要がない、ラップトップ、いやハンドヘルドコンピュータのようなハードウエアがclockwork Tech LLCのDevTermだ。同社はミネアポリスが本社の2016年創業のスタートアップベンチャーである。

DevTermについては前出のclockworkのサイトに詳細があるのでそちらか、TechCrunch Japanには日本語で詳しく紹介されているのでそちらを参照されたい。

同社はDevTermについて、次の様に紹介をしている。

DevTermはレトロエンターテインメント端末です。
強力なハードウェアにより、様々な有名ビデオゲームやソフトウェア、さらにはビンテージシステムの歴史をスムーズに追体験することができます。DevTermは、最新のオープンソースOS、豊富なアプリケーション、Webブラウザ、マルチメディアAPPから多くのインディーゲームエンジンに至るまでの開発ツールを提供します。
もう一つ、レゴ、ガンダム、タミヤと同じように、ユニークなアンボックス体験は、多くの組み立てられたおもちゃのようにエキサイティングなものになるでしょう。

ラズパイベースのハードウエアや関連するハードウエアを販売している会社はいくつかあるのだが、こうした書き方を見たのは初めてである。ハードウエアについて語っていないのである。更に気になったので会社概要について調べてみると、元々は数年前に同コンセプトのラズパイベースのゲーム機?であるgameshellを発売している。以下が会社紹介に関する記述だ。

私たちのチームは少人数で、インターネット、通信、携帯電話、工業デザイン、広告業界など様々なバックグラウンドを持ったメンバーが集まっています。現在のスタッフは7名で、そのうち2名がアルバイトです。

私たちの共通点は何かと聞かれれば、答えは簡単です。ゲームをこよなく愛するオタクであるということです。ゲームについて話せば、私たちは典型的な寡黙なエンジニアではないことがわかるでしょう。

感情という点では、村上春樹は『ピンボール』(1973年)という小説を書いています。冬の街を舞台に、主人公が幼い頃に遊んだ「スペースシップ」というピンボールを探しに行くという小説です。私たちの子供の頃の楽しい思い出は儚いものです。村上は、小説という形で永続性を持たせたかったのかもしれません。そういえば、GameShellのクラウドファンディングで、ベルギーからの支援者の一人がこんなメッセージを残してくれました。”初代ゲームボーイが恋しくてたまらなかった…。それも冬の寒い夜のことでした。1973年の『ピンボール』の中で、この男がコートを着て寒い夜に街のはずれにある廃倉庫に出かけ、そこで古いピンボールマシンを見つけるシーンを思い出しました。

時間や場所、文化を超越したものがあります。多くのゲーマーや村上氏のように、私たちのモチベーションの大きな部分は、無形でありながらも現実のものであるこの閃きをつかみ取ろうとすることだと思います。これらは私たちの記憶を保持しているものです。それ以上に、もっと深いものになることもあります。無意味な宇宙の中で意味を生み出すものになり得るのです。

現代のコンピュータが登場する以前、差動エンジン、タイプライター、動力織機、ピアノなどの機械は、複雑な時計仕掛けで動いていたことを述べておきます。私たちは、ユーザーの皆様に、現代のデジタル技術のすべての源流にまで理解を広げていただきたいと願っています。私たちは、偉大な技術は通常、シンプルで本質的で、興味深く、感動的な始まりを持ち、創造者の善意によって発明されると信じています。

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この記述はまだまだこの3倍以上続く。これほど長く、これほど熱量のあるaboutページを見たことがない。ぜひオリジナルで確認していただきたい。

最近の言葉で言うならパーパス、すなわち「企業としての存在意義」が明確かどうか、コロナ以降でますます問われていくのではないだろうか。それはミッションのさらに上位概念である。オープンソースハードウエアの代表であるRaspberry Piであるが、Raspberry Pi財団はRaspberry Piについてこう記している。

We want to see the Raspberry Pi being used by kids all over the world to learn to program and understand how computers work.

やはりDevTermはRaspberry Piと同じ文脈、かつ明確なパーパスがあると言えよう。たかが小型コンピュータと言えども、こうした世界観があるかないか、そしてそれを世の中や社員に対して明確に示せるかどうかが重要であり、製品やサービスがそのパーパスを具現化されているべきなのだ。