バーチャルオンリー株主総会合法化へ

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オンラインによる株主総会開催が、コロナ禍によって加速し、本年6月の株主総会においては、ハイブリッド型、すなわちリアルな開催と並行してオンラインで株主が参加(または出席)するというスタイルが認められ、5%前後の上場企業で導入された。その後も採用社数は増加している模様だが、バーチャルオンリー株主総会の合法化によって、オンライン化のバックグラウンドは整った。

ただし、現時点の法令(会社法)では、上図のうち、バーチャル(※)オンリー型株主総会は適法性を欠くと解釈されている。どんなに素晴らしい動画配信、インタラクティブなリモートアクセスの仕組みを提供しても、株主が実際に参集し、取締役らと物理的に同席できる「場所」を提供しなければ「違法」となってしまうのだ(仮に一人も集まらなかったとしても)。

※実際に開催している会議をリモートで視聴してるので、「バーチャル」という言葉は不適当だと思うが、一般にそう呼ばれているので本誌でも使用することとする。

さて、米国ではすでに多くの州で、バーチャルオンリー株主総会、つまり会場には取締役、経営側スタッフや弁護士等だけが集結(もしかしたらこちら側もリモート出席かもしれないが)し会議を進行、株主はすべてオンラインでその様子を視聴、参画(質問や議決権行使)する方法 が合法化されている。

このような実情に対し、政府は、バーチャルオンリーの株主総会を合法とする改正法案をようやくとりまとめ、2021年通常国会に改正法案を提出、成立する見通しとなった(第4回、5回成長戦略会議より)。この法案の成立により、来年6月に予定される上場会社の株主総会で(おそらくIT関連企業を中心として)初めて採用する企業が出現すると予測される。

*バーチャル株主総会の実現(12月1日 成長戦略会議 配布資料より)
我が国の会社法においては、株主が参集する実在の「場所」を設けずに、インターネット上のみで株主総会を開催することは認めれていないため、①そこに参集する人数を減らしつつ、②東実の株主総会にインターネットを活用して、株主の参加を促すという実務的な工夫で対応している状況である。ウィズコロナの中でバーチャルオンリー型の株主総会(インターネット上のみで株主総会を開催)が米欧で認められていることに鑑み、我が国においても、来年の株主総会に向けて、バーチャル株主総会を開催できるよう、2021年の通常国会に関連法案を提出する。

さて、当然ながら、法的整備が整ったところでの課題は、テクニカルな課題をクリアすることだ。株主が数十名といった少数であれば、おそらくzoomやskypeといった汎用ツールでも、十分に株主の納得の得られるバーチャル株主総会が開催できるに違いない。しかし、さすがに上場会社となると、最低でも株主が数百人は存在し、かつ、株主総会特有の法的要件をカッチリ満たす必要があるため、様々な仕組みが必要となってくる。

これに関連し、株式会社フィスコ(証券コード3807)は、去る11月25日、バーチャル株主総会の議決権行使に対応したシステム開発を完了したと発表した。詳細は未発表であるが、他社も含め、システムのみならず、総合的なバーチャル株主総会運営サービスを提供する事業者は増加するとみられている。

株主総会の運営スタッフにとっては、おそらく、中途半端なハイブリット型は逆に手間が増えるだけなので避けたいところだ(実はここが今ひとつ拡大しない要因ではなかったかと思う)。しかし、バーチャルオンリー株主総会は、リアル開催の準備(役員が参集する場所は必要だが)を一切する必要がなく、バーチャル総会の運営に集中できる。このメリットは大きい。

以上のように、法令、IT環境、専門サービスといったバックグラウンドは整いつつあり、スタッフもウェルカムだろう。すると残りは、経営者が決断するだけとなりつつある。ハイブリッド型であろうが、オンリー型であろうが、バーチャル化によって増えるであろう、株主とのコミュニケーションの機会をチャンスととらえ、先進的な仕組みを取り入れる経営者が多く出現することを望みたい。

司会者及び答弁者を撮影、リアルタイム配信するための機材、サービスの整備
株主だけが映像を閲覧できるシステム、本人認証の仕組み(なりすまし防止)
議決権行使及び集計を行うシステム及びそのセキュリティ(改ざん防止)
株主と質疑応答(一定の制限あり)するためのシステム
定款の変更(今後の法改正による)
主要株主への浸透と理解
通信障害時の対応ルール作り
オンライン視聴環境を持たない株主への対応
より多くの株主が参画することを踏まえた想定シナリオの準備
■バーチャル株主総会に向けた主な準備事項