角川武蔵野ミュージアム「本棚劇場」のプロジェクションマッピングを体感してきた

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角川がミュージアムを作る、なんと場所は埼玉県の東所沢だ。発表された当時話題になっていた。そして話題の「角川武蔵野ミュージアム」は2020年11月6日にグランドオープン。筆者は読書家ではないが、ミュージアムの独特な外観や、本の展示のデザイン、中でも「本棚劇場」という高さ約8メートル、約3万冊を蔵する巨大な本棚がある空間でプロジェクションマッピングをしているというので体感してきた。

武蔵野線東所沢駅から歩いて約10分。住宅街の中に突如現れるグレーの大きな不思議な形のした建物は異様なオーラを放っていた。コンクリートの建物というより、大きな石の集合体というような感じだ。想像していたよりもずっと迫力がある。

住宅地を歩いていると突如出現。設計は隈研吾氏。

ミュージアムに入り、お目当ての本棚劇場に向かう。本棚劇場が見られるのは建物の4Fだ。4階に到着すると、本棚劇場まで続く道には左右に大量の本が並べられており、ジャンルもよくある「歴史」、「経済」、「料理」、「西洋美術」などの分け方ではなく、ふと、なんだろうと興味が湧くような面白い括りになっている。本棚の前には小さな椅子が点々と置いてあり、気になった本があればその椅子に座って自由に読める。本、というとどうも活字が並んでいるものをイメージしてしまうが、写真集や美術書、絵本なども並んでおり、ほぼ活字だけの本は苦手だという人でも、年齢性別を問わず楽しめる文学というよりアート寄りの空間である印象を受けた。

本棚劇場はその道を進むと突如吹き抜けのような部屋があり、びっしりと本が並べられている。プロジェクションマッピングは30分に1回程度の頻度で放映されている。

時間になると照明が暗くなり、本の形を使ったプロジェクションマッピングが始まる。本の塊ごとにネオンの看板のようなものが浮かび上がったり、棚や本ひとつひとつの形を生かした演出が行われる。その後は本棚劇場に期間限定で展示をしているものに関連した映像が映し出される。こちらは本棚の形を生かしたものではなく、そのまま本棚の壁一面をスクリーンとして利用されて人物の映像などを流すものであった。上映自体の時間は短く、あっと驚くようなど迫力な演出ではなかったが、上映されている本棚劇場自体にも自由に読める本があり、紀井なる本をそのまま読みたい人もいるだろうし、他の静かな空間との調和もとれるので、このくらいの規模がちょうど良いのかもしれない。

本棚劇場のプロジェクションマッピング。動画撮影はNGなので、是非実際に行って体感して欲しい。

本が大量に並べられている空間は、静かでクラシックで高尚な雰囲気だ。アナログの空間、例えば古い建築方式の美術館や神社など古き良きアナログ空間に、映像表現や最先端な取り組みとして無機質で大きな黒いモニターなどハードを取り付けて雰囲気を壊してしまっている例をいくつも見たことがあるが、うまくプロジェクターを使うことによって元の良さを壊さずに融合させることができる。プロジェクターは空間そのものが暗くないと見えづらく、投影される物体によって視認のしやすさが大きく左右されるので、サインとして取り入れるのにはなかなか検討事項が多くなるが、改めてプロジェクションマッピングの利点について考えさせられる空間であった。