非接触で試供品を提供して顧客の情報と使用感レポートが得られるMaison KOSÉ の自動サンプリング機

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株式会社コーセーが、先日の2020年12月17日にフラッグシップストア「Maison KOSÉ」を表参道にオープンした。

この店舗、他と違うのはコーセーがお客様に対して新たなショッピング体験の実証実験の場として、新たな生活様式に合わせた環境を整えているということ。手を出すと反応して1回分のテスターが出てきたり、店舗にあるタブレットのカメラを利用して肌診断を自身で行うことができる。また、決済も完全キャッシュレス化。今後はオンラインとオフラインを融合したショッピング体験も可能になるという。

手をかざすと1回分のテスターだけ出てくる。
iPadについているカメラで肌を撮影し、肌の状態を表示。その結果からおすすめの商品がピックアップされる。

地下1階に行くと自動販売機ほどの大きさのデジタルサイネージの筐体が置いてある。こちらは自身の気分にあった香水のサンプルを非接触でもらえるサービスだ。

サイネージと掃き出し口以外のところはミラーの加工になっている。

手順としては、サイネージに表示されているQRコードをケータイのカメラで読み込み後、WEBサイトから言語選択、年齢を選択、その後は今の自分の気分に一番近いものがどれかなどの質問にいくつか答える。すると、一番自分にあった香りが提案される。WEB画面上の「GET MY SAMPLE」を押すと、今後はサイネージの画面に再度別のQRコードが表示されるのでそちらを読み込む。こちらはLINEの友達追加だ。友達追加後、サイネージに表示されたキーワードをLINE画面で入力して送信。自動返答されたキーワードとメールアドレスをサイネージにタッチして直接入力。サイネージに表示される「GET SAMPLE」を押すとサンプル品が出てくる。

サンプルを店員と非接触で手に入れることができる上、店舗側も顧客情報を手に入れられ、LINEで友達追加してもらうことにより今後の接点も手に入れられる。

少し気になったのは、まず操作しなければならないことが多いこと。QRコードは2回読み込まなければならないし、メールアドレスもサイネージに直接入力しなければならない。サンプルの中身によってはこのくらい手間がかかっても気にならないかもしれないが。あとは、メールアドレスをこの大きいモニターに直接入力しなければならない為、周りから丸見えというところだ。ケータイで操作中もLINEの操作以外のWEBページでの遷移はサイネージに連動して表示されるのだが、ここは入力している本人以外通りかかった人から見れば宣伝になるのでプラスの点はあるのだろうが、操作をしている本人としてはあまりメリットを感じられない。

このサイネージ付き自動サンプリング機は、コーセーのプレスリリースによるとOdore社の最新機器とのことだ。調べてみると、Odore社はロンドンにある会社で、数多くの化粧品ブランドで実績がある。顧客がオンラインではなくオフラインで手軽にサンプルを手に入れられる、かつブランド側はただサンプルをただばら撒くというわけではなく、顧客情報を手に入れることができる。購入時に顧客が入力した情報や、サンプル入手後のアンケートをOdore社でまとめてブランド側にレポートとして提出をしている。今回のコーセーのサンプル掃き出し機はLINEとも連携しているので、一部カスタムをしているのかもしれない。

今回実証実験の場ということもあってか、店員がつきっきりで教えてくれるのであまり非接触感はないが、この仕組みなら店員がいない場所、極端に言えば店舗内ではなくとも飲料を販売している自動販売機のようにこの筐体だけを街に置いても筐体自体ラッピングすれば広告の役割も果たすし、サイネージもカスタマイズ次第ではプロモーションとして活用できるかもしれない。

化粧品はサンプルがないとなかなか購入に踏み切るのは難しく、コロナ禍においては今までのように店頭で自由にテスターを触ることができず機会損失が多く発生していることだろう。筆者も気になる化粧品があり、質感や香りを試したくて店舗に行ったはいいものの、テスターはコロナの影響で一切触れることができず、店員が顧客とマンツーマンで接客しなければならず長時間待たされることが多かったり、マンツーマンだと長時間その場で検討することが気まずく結局買わずに帰ってしまうことが多い。またはそこまでじっくり検討できずに商品を購入してしまって満足感が得られなかったりする。

サンプルをそのまま店頭にごっそり置いておいても、どんな目的、どのような属性の人でどんな悩みを持っているのかわからない状態で大量に持っていかれるだろうし、なかなか課題は多かった。オンラインでも顧客情報を入力後にサンプルを入手させる方法はあるだろうが、まずそこのWEBページにアクセスしてもらうまでのハードルが高い。この自販機型の自動サンプリング機は、WEBとも連携しているのでサンプルの中身を簡単に変更することは容易いことではなく、導入の費用や手間も発生するが、スペースは多少必要なものの、従業員がいなくても気軽にどこでも置けて、顧客の情報入手や今後の接点を持てるという点でブランドによっては費用対効果が得られるだろう。