ニューノーマルではAmazon Exploreを徹底的にベンチマークせよ。特にテレビ局。

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Amazonが新サービス「Amazon Explore」を9月29日から開始した。サービスの概要は日本からも見ることはできるが、現時点で実際にサービスを受けられるのは米国内のベータテスターだけである。このサービスは極めて大きな可能性を秘めている、と筆者は感じている。そしてこのサービスをどの視点から捉えるかによって、見え方も可能性も大きく変わってくる。とにかくこれをご覧いただこう。圧倒的に必見だ。

このサービスをいくつかの要素で切り取ってみると
・バーチャルトリップ
・オンライン体験学習
・オンラインショッピング
・ライブ中継
・シェアリングエコノミー
といった要素が深く関わっている。観光業、教育、小売の各領域に、最新テクノロジー、といっても決してカッティングエッジなものではなく、枯れたとは言わないがこなれた技術を最適化して、Uber Eats(Uberではない)のようなシェアリングエコノミーとして提供されるものだ。

ここまではサービスの全体像を理解してもらうために、あえて抽象的なことを書いてきた。しかしAmazon Exploreを簡単に言うと「スマホ単体でのライブ中継によるリモート観光体験」という説明だろうか。だがこれではこのサービスの全体のほんの一部しか表現できていない。前述のような要素に分解していくと、応用範囲がきわめて広いことを感じていただけるだろうか。

・バーチャルトリップ
実際に移動しなくても済む旅行がたくさんあることはリモートワークのオンライン会議で明らかになった。明らかになったと言うよりは最初から分かっていたことだが、誰もが認めるものとなった。もちろん言うまでもなく、だからといって全てがリモートでは完結できない問ことも同じくらい明確になったわけだ。Avatar-inFIRST AIRLINEの取り組みはこの領域の一部を具現化しようとしているに違いない。
この初めてのパリ旅行はプロのツアーガイドが貴方だけのためにパリの案内をしてくれる。それも双方向のリアルタイムでだ。

ガイドがライブ中継している映像をリモートから写真が撮れる(キャプチャーだと思われる)

・オンライン体験学習
最近の旅行の中には、体験を重視したものがとても多い。農業体験やそば打ち体験のような、観光地の旧跡や自然を見る旅行から、体験価値を提供するものだ。この寿司教室は日本のABCクッキングスタジオが提供している。

講師が寿司の作り方を実演する
それを見ながら一緒に作る

・コンシェルジュ付きオンラインショッピング
従来のオンラインショッピングは、今思うと退屈で味気ないものだ。明らかに購入したい商品が決まっており、それ以外には目もくれないというのであれば、Amazonか楽天あたりでポチればOKだ。条件が揃えばその日のうちに届くこともある。だが買い物というのはそれだけではない。あれこれ見ながら、迷いながら、最終的には何も購入しないということも、我々が従来行ってきたショッピングである。
このかっぱ橋商店街だと思われる調理道具の購入ツアーは、とても楽しそうである。日本人的にはパリのクリニャンクールの蚤の市あたりなんかと同じようなものだろうか。

これを見せてと会話しながら「これ」がどれだかわかる
気に入ったらそのまま「Amazonで」購入。OMOそのものだ。

・ライブ中継
こうしたオンライン体験は、スマートフォンがあるから実現できるものだ。スマホとLTE以上の回線が確保できなければ、テレビ局の中継車でも呼んでこないと実現は不可能だったが、いまは手の中のスマホだけで実現できる時代なのだ。
しかしスマホだけでは実は塩梅が良くない。ここでは実際のシーンを想像してみれば、とりあえずスカイプあたりで現場側と依頼側になって試してみれば、課題はすぐにわかる。

この状態を実際にやってみれば特徴と課題がすぐわかる

・シェアリングエコノミー
もう一つ大事なことは、旅先の現場側にいるのはいったい誰なのかということだ。現時点のAmazon Exploreは、ABCクッキングスタジオやプロのツアーガイドをアサインする仕組みになっている。もちろんそれはそれでOKなのだが、ここにUber Eatsのような仕組みを導入したらどうなるか。案内したい人と案内されたい人のマッチング機能が提供されるとどうなるか。そのためのプラットフォームはどういうもので、これら発注側受注側にはどんなハードウエアやアプリケーションが必要なのか。ほら、いろいろなことが見えてくるではないか。

こういったことは、このサービス名称にも表現されていると筆者は感じている。現在のサービスメニューを見ると「Amazon Travel」でも悪くはないのだが、これはあくまでも「Explore」エクスプローラーなのだ。注意深く考え、複数の選択肢がある中で探検することだ。観光的なトラベルはこの中のほんの一部なのである。

さらに、これらはほとんどB2Cに関したものだが、この技術やプラットフォームをB2Bに応用したらどうだろう。Amazon Exploreは新しい生活用式に対応した素晴らしいベンチマークになる。GASKETでは折に触れてこの話題を取り上げていくことにしたいと思う。

そして最後に、これは実はライブエンターテイメントそのものなのである。競合するのは旅行業でも小売業でもなく(これらは競合ではなくニューノーマルにおける救世主だ)、テレビのような元々はバーチャルなエンターテインメント産業なのではないかと思うのだ。