スマート店舗の天井は照明用ダクトレールだらけになる?

AI/Digital Signage /

先日、とあるカフェテリアに混雑具合を計測して案内するサイネージを設置した。出入り口に移動体を追跡して通過数量を計測できるステレオカメラを設置し、店内の人数をカウントして3密を回避するための案内を行う。出入口が複数あるため、カメラにはサブギガアンテナとモジュールを取り付け、サブギガ通信で各出入り口の入退室人数を合算している。

このカメラを設置するに当たって活用させてもらったのが、既設の照明用のダクトレールだ。カメラの固定および電源供給元に使用した。カメラにいわゆる三脚ネジ穴(1/4インチ)があれば、ダクトフィクサーを使ってそのままダクトレールに吊り下げられる。レール内であればいくらでも設置位置の調整もできる。電源も取れる。天井に吊金具を設置したり、壁面にアンカーを打ったりして配線を引き回すのに比べると、初期工事とともに設置後の調整を含めて、大幅に工数(=費用)を削減できる。特に今回は、各AIカメラ同士の通信をサブギガで行なうためにLANを取り回す必要もなく、既設のダクトレールがあるところであればどこでもカメラを設置できた。また、増設したり、移動させたりするのも容易だ。ダクトレールの規格は共通化されているので汎用性も高い。

右手の白いハコがステレオカメラでダクトフィクサーで天井に固定されている。また、左手では照明用レールにコンセントを設置して電源を取得している。
右手の白いハコがステレオカメラで、ダクトフィクサーで天井に固定されている。また、左手ではダクトレールにコンセントを設置して電源を取得している。
別の出入り口付近にも照明用レールでカメラを設置した。
別の出入り口付近にもダクトレールでカメラを設置した。

これまでの店内へのカメラ設置は、防犯目的が多かった。そのため、マーケティングなどの別目的でカメラを設置する場合でも、そこで蓄積したインフラやノウハウを使うケースがある。その最右翼が、IP防犯カメラにAIを搭載した機種だ。これであればPoE給電ができるため、LANケーブルを取り回すだけでカメラを設置できる。

PanasonicのAIプロセッサー搭載の防犯カメラパンフレットから。
PanasonicのAIプロセッサー搭載のネットワークカメラ(同社パンフレットから)

しかし、マーケティング目的だと、そのカメラの設置位置や向きは、防犯カメラのそれとは異なるものになるし、さらには売り場や棚割りによって移動させる必要が出てくる。新しい店舗であれば、さまざまな箇所に、予めカメラ用の配線や設置スペースを用意しておくこともできる。しかし、既存店舗だと、天井裏にPoEのLANケーブルを取り回すだけでも大きなコストになる。それよりも、もともとある照明用のインフラ、たとえばダクトレールや、電球や蛍光灯ソケットを活用できたほうが、ずっと楽だ。

現場でAIカメラを設置する立場からいえば、PoE給電対応AIカメラよりも、ダクトレールやE26電球ソケットに固定でき、電源供給され、無線で通信するAIカメラのほうが好ましい。AIカメラを開発するメーカーには、そのあたりの視野をもっていただけるとうれしい。

オフィスの情報化が進み、パソコンが大量に導入されるようになってから、オフィスビルは二重床構造の「OAフロア化」が一般化した。床下にスペースをつくることでネットワーク配線を床下に収められるになり、各デスクにパソコンが設置されるようになってもスッキリとした床面と自由なオフィスレイアウトを実現した。これと同じように、これからの店舗では、カメラを自由に設置できるようなインフラを予め用意しておくようになるのではないだろうか。そのうち、もっとも可能性高いのが、照明用のダクトレールなのではないか。今回のAIカメラ設置工事を通し、そのようなことを感じている。

高輪ゲートウェイ駅の無人コンビニ「TOUCH TO GO」の天井に設置されたカメラとセンサー。防犯カメラとは設置位置や台数が大きく異なる。
高輪ゲートウェイ駅の無人コンビニ「TOUCH TO GO」の天井に設置されたカメラとセンサー。防犯カメラとは設置位置や台数が大きく異なる。
とあるコンビニの天井。右手の黒いアームで固定された白箱がAIカメラで、マーケティングデータを収集している。
とあるコンビニの天井。右手の黒いアームで固定された白箱がAIカメラで、マーケティングデータを収集している。
TRIALの防犯カメラ。照明用レースを活用して店内カメラに給電している。
TRIALのマーケティング用カメラ。ダクトレールを活用して給電している。