鉄道車両内でのインプレッション計測の手法

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ビズライト・テクノロジーは、埼玉高速鉄道車両内に設置されている「ダイナミックビークルスクリーン(DVS)」にてインプレッションベースの広告販売を開始し、スペースシャワーネットワークが出がけるオンライン・ライブハウス「LIVEWIRE」の広告事例では、掲出期間9日間でインプレッション数が105万になったと発表した(【告知】〜ステイホーム時代のアウトオブホームメディアの媒体指標を再定義〜ビズライト・テクノロジー、電車内デジタルサイネージでインプレッションベース広告媒体の販売を開始 オンライン説明会を10月14日と16日に開催)。

本記事では、インプレッションベース計測を行う意義、それからこの広告事例でどのような形でインプレッション計測が行われたのか、環境や機材、カウントの定義について解説する。

インプレッション計測を行う意義

「ステイホーム時代のアウトホームメディア」というと、勝ち目のない戦いのように思える。しかし、広告主のメディアプランニング上、偶然の出会い、生活のなかで広くフリークエンシーを稼げるOOHへの期待はいまだに健在だ。テレビの視聴時間や新聞の購買世帯数が減るなか、広くにリーチできるメディアとして相対的には期待が高まっているとさえいえる。ただ、この期待に応えるためには、メディアプランニングに使える指標を広告主に示さなければならない。これまではサーキュレーションデータや到達率は出してきていたが、ヒストリカルなうえに推定値であり、メディアプランニングを行う指標としては信頼性が低い。ステイホームで厳しいいまだからこそ、アクチュアルデータを計測、公開していく必要がある。

計測を実施した路線

計測を行なったのは埼玉高速鉄道の車両内だが、同車両は直通運転で東京メトロ南北線および東急目黒線にも乗り入れている。広告の放映およびインプレッションの計測は、乗り入れ先の路線走行時にも行なっている。

乗り入れ先も含めた平均輸送人員と、走行本数は下記のとおり。乗り入れがあると、平均輸送人員のうち、どれだけの人にリーチできたのが、大変わかりにくくなる。このあたりもインプレッション数が求められるところだ。

計測に使用した機材

インプレッションの計測には、車両ビジョンの横に設置されているAIカメラが使われている。カメラに直結した機材でAI解析され、映像は即座に破棄される。

カメラの使用にあたっては、プライバシーへ配慮しており、デジタルサイネージコンソーシアムが策定した「センシングサイネージガイドライン(第一版)」および、IoT推進コンソーシアム、総務省および経済産業省にて策定した「カメラ画像利活用ガイドブック ver.2.0」に準拠して運用している。詳細はこちらのページ(【ダイナミックビークルスクリーン】Vol.06 プライバシー保護について)を参照してほしい。

インプレッションの定義

インプレッションは、1秒ごとにAIカメラの映像データを解析し、当該素材を放映時間内に1度だけでも画面に顔を向けていたら、インプレッションとしてカウントする。ただ、1素材放映時間内に1人が複数回視認していても、重複分はカウントせず、1インプレッションとする。ただし、ロールが1回転して再び同じ素材が放映されるときには、同一人物が同一素材を見た場合であっても、新たにインプレッションとしてカウントする。

これはあくまでも「今回のインプレッションの設定」の場合であって、上記の変数は適宜変更できる。現在一般社団法人デジタルサイネージコンソーシアムの場において、OOHにおけるメジャメントについてのガイドライン作成が進められており、また広告主や媒体主との協議の中で検討されていくべきものである。よって繰り返すがこれは今回の変数設定の話である。

インプレッションの結果

計測結果が、すでに公表しているこちらの表だ。はじめの4日間は4連休となっており、5〜7日目が平日、最後の2日間が再び土日。平日には、朝夕のラッシュアワーの影響がはっきりとでている。

これまでは、平均輸送人員や走行本数から、どれだけの人にみてもらえるのかを推定していた。ところが、AIカメラを活用することで、どれだけの人が視認したのかをアクチュアルデータとして確認できるようになる。また、素材単位で計測できるため、どのようなコンテンツが見られるのかが定量的なデータによって可視化できるようになる。A/Bテストで、より多くの人にみてもらえる素材はなにかを試験し、それに基づいてクオリティを挙げられるようになる。

既設のサイネージ向けのソリューション「OOH Measurement BOX」

埼玉高速鉄道のダイナミックビークルスクリーン(DVS)では、AIカメラを搭載していたために、インプレッション計測が行えた。ただ、ほとんどの媒体ではAIカメラは搭載しておらず、その計測はハードルが高い。そこでビズライト・テクノロジーでは、後付けできるインプレッション計測専用機材「OOH Measurement BOX(仮称)」の開発に取り組んでいる。

これは15センチ角、厚さ4センチぐらいのカメラ内蔵ボックスだ。DVSで実際に稼働させているカメラとエッジAI処理エンジン、アクチュアルデータをレポーティングするためのLTEモジュールを切り出して、コンパクトにまとめたものだ。電源だけ供給すれば、インプレッション計測がすぐに行えるようになる。

DVS以外の、すでにデジタルサイネージが稼働している鉄道車両の場合であっても、デジタルサイネージのCMSから時系列の掲出ログ(素材名と掲出時刻)が抽出できれば(システム的には普通できるはずだ)、OOH Measurement BOXが計測した時系列のインプレッションのアクチュアルデータを突合させることで、広告素材単位でのインプレッションデータがわかる。

また、鉄道車両以外の場所、すなわち駅やデジタルではないOOH媒体に最適化したバージョンも同時に開発を進めている。これらは広告費から逆算しても、媒体事業者から見て十分対応可能な金額感やサービスモデルでの提供を目指している。

PoCも予定しているため、ご興味があればビズライト・テクノロジーまでご連絡いただきたい。