デジタルサイネージとプログラマティック広告

Digital Signage/Media /

GASKETで徹底的に指摘している、「ステイホームにおけるOOH?」という矛盾をどう克服していくかについて、今回は他メディアとの組み合わせによるプログラマティックな広告配信について、その概要を考えてみる。

これまではデジタルサイネージは他媒体とのシステム的な連携はほとんどなく、唯我独尊で乗降客数などの牧歌的な指標だけで、不動産に近いビジネスを営んできた。しかし現在では人がいない以上、その指標だけでは成り立たなくなりつつあり、これは今後はもう元には戻らないことは誰しもが認めざるを得ないことだ。

そこで、デジタルサイネージのことしか知らない、あるいは不動産価値ベースのOOH広告しか扱ってこなかった業界関係者に、いまデジタルサイネージの周辺で起きていることを既存の事例を元に見ていきたい。

次世代の広告配信の事例としてわかりやすいのは、博報堂DYメディアパートナーズのBRAND VIEW ADSである。その概念図が公開されているので下記に貼っておく。

博報堂DYメディアパートナーズの2020年6月22日のニュースリリースより

この中で屋外サイネージ広告や屋内サイネージ広告、タクシー広告などの特定の媒体や広告枠に対して、プログラマティック配信を行うサービスが「BRAND VIEW OUTDOOR AD(BVOA)」である。Webやアプリ、テレビ局のオンラインサービス、音楽やラジオアプリ、新聞雑誌のオンラインメディアの中に、デジタルサイネージも仲間入りしている。

BVOAには現時点でLIVE BOARD、MADS、DiDiTV、CMerTVといったSSPが接続されている。

ここでSSPとDSPについて触れておく必要があるだろう。複数のアドエクスチェンジやネットワークを一元管理する広告配信のプラットフォームが「DSP(Demand-Side Platform)」、広告収益の最大化を目的とした媒体側のプラットフォーム「SSP(Supply-Side Platform)」である。これを利用すると、広告主は、複数のアドエクスチェンジ、複数のアドネットワークに一括して広告配信を行うことができる。インターネット広告の世界では10年以上前から当たり前の話であるが、デジタルサイネージでは聞いたこともない向きも少なくないと思われる。

この中で、他の媒体が自分の意志に基づくメディア接触に基づいているのに対して、デジタルサイネージは生活者の意思によらない、偶然の出会い頭のコミュニケーションという特性がある。ここはデジタルサイネージにとって重要なファクターである。かつてはこの領域は地上波テレビが担ってきた部分が大きいが、地上波テレビがリアルタイム見られなくなった、視聴属性が高年齢化している傾向がある中で、たまたま見た、偶然知ったということは結構重要なのである。