POVでライブ中継をして分かった いくつかのこと

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視点カメラを使ったPOV(Point of View)による音楽ライブ中継を行った。事事前に予想できたことと、やってみて分かったことがいくつかある。それはハードウエアとシステムの問題とコンテンツの特性の関係性だ。そして同時に目的を絞ればPOV映像には大きな可能性があるように思えた。

POVとは、人の目線に近い映像のことである。主観映像とも言う。これを実現するためには目の近くにカメラを設置する必要がある。そのためにはカメラは超小型で軽量である必要がある。身体に装着するためにはメガネのようなものに取り付けるか、胸元などに取り付ける事が考えられるが、後者の場合は頭の動きと連動しないので意味合いが変わってくる。

Insta360 Goをマグネットはついたペンダントのようなものを首から下げて、服の上から磁石で固定している例

目線というのは常に動いている。動くのは人が足で移動している場合と、首が動くことによるものだ。胸元に比べて頭であれば、おおよその撮影方向を撮影者自身がコントロールできる。そこで今回はこうした超小型のカメラを使用した。

このカメラから「クリーンな映像」を取り出すためには少々工夫が必要だった。なんとか映像を取り出しすことはできたのだが、USB出力しかなく、ライブスイッチャーに渡すためには更にいくつかの工夫をする必要があった。

こうした試行錯誤を経て、実際のライブストリーミングからのキャプチャーがこちらである。

ピアノ奏者からの映像
サックス奏者目線

実際のライブはこちらにアーカイブされている。

今回わかったことは、ハードウエアとしてのカメラの課題である。しかしこれらの解決方法は比較的容易だ。それなりに激しい動きにも耐えられる装着方法と機構、クリーンな映像を簡単に引き出せることだ。そこから得られた映像は、当然だがかなりブレまくる。スタビライザーでこれを安定させることも技術的にはある程度可能だが、小型化とコストが課題になる。YouTubeなどでもすでに実装されているスムージング処理は画像全体が今の技術ではぼんやりやりしてしまう。

今回のような音楽の場合は、演奏者が演奏に集中できるかも極めて大きな課題である。音楽や演劇のようなエンターテインメントで使用する場合はこれら課題をクリアする必要がある。それがクリアになったとして、得られる映像が果たしてどれくらい効果的なものなのかを検証しなければならない。少なくともPOVだけで構成するということはやはり現実的ではない。

また、今回はそうでもなかったのだが、当事者同士が目線を合わせることに価値がある場面もあるようだ。アイドルや、ジャニーズ、タカラヅカなどの熱心なファンにとっては、これらはお宝クラスの映像なのだそうだ。

そして分かったことは、別の用途での実現と課題である。撮影者が何もすることなく自然に振る舞うことで、本人が見ているものをハンズフリーで別の場所にいる人に伝えるニーズだ。例えば何かの現場の状況を伝えて、適切な指示を遠隔で行うことだ。これは相当多くの現場で必要とされている。ここでの課題は、撮影者自身が今何が写っているかを確認したいということ、遠隔にいる人とは音声で会話ができることだ。装着方法は現場によって様々だが、ヘッドマウントするか元々ヘルメットをつかっている現場であればそこに内蔵することもできる。

収録でいいのであれば話はかなり簡単なのだが、本来のニーズはどう考えてもライブ中継にあると考えている。SDカードに収録したものを引っ張り出してあとから確認したり、編集するというような用途ではない映像の使い方がもっと開拓されるべきなのである。

GoProがアクションカメラというニーズを掘り起こすことに成功したが、それ以上の潜在ニーズが本来はある。

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