交通広告の復権にはアクチュアルデータに基づく評価指標が必要だ

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アメリカのDOOH業界団体DPAA(Digital Place Based Advertising Association)では、広告指標の測定方法の基準を定めたAudience Metrics Guidelines(PDF)を公開しているのだが、そのなかでオーディエンスのヒエラルキーを下の図のように示している。

DPAA :Audience Metrics Guidelinesから。

たとえば、CPM(Cost Per Mille)課金のインターネット広告は、広告素材単位でのインプレッションを計測し、掲出量を管理している。つまり、このヒエラルキーのなかでもっとも高度なAverage Unit Audienceよりもさらに細かい指標で評価し、課金している。それに対して交通広告は、乗降客数や輸送人員をもとにした媒体の評価を行なっている。上の図でいえば、一番の外枠に「Venue Traffic」(設置場所の通行量)とあるが、もっとも低いヒエラルキーの数字を基準にしている。インターネット広告と交通広告では、指標のヒエラルキーが何段階も異なるのだ。これでは、広告主はそれぞれの指標を平等に比較し、これをもとにしたメディアプランニングすることはできない。

それでもなお、これまで交通広告が人気を保っていたのは、満員の通勤電車、乗降客であふれかえる駅の風景が、大きな説得力を持っていたからだ。インターネット広告は数値しか見えないのに対して、交通広告は実物とその前を行き交う人々を実際に見ることができる。数値がない一方で、このリアリティに大きな価値があった。ところが、コロナ禍によって状況は一変した。リアリティが重要だったのに、明確に乗客が減ってしまい、駅の混雑具合は大きく緩和した。そうすると、多くの人が見てくれているとの心象が大きく崩れてしまい、実際の乗降客数の減少分以上の値下げを行なって販売する事態となっている。

このような事態を乗り越え、地位を回復するには、定性的な分析や曖昧な雰囲気での販売から脱し、その他の媒体と同じヒエラルキーと同程度の、データに基づいた広告主のメディアプランニングに耐えうる評価指標を整えるしかない。

幸いなことにいまはセンサーやAIが発展しつつあるOMO(Online Merges with Offline)の時代であり、オフラインの世界についてもデジタルデータ化することが可能になっている。

アクチュアルデータを取るか否かを検討する時期は過ぎている。これらのツールをどのように活用していくか、指標化していくか、そのような議論に期待したい。