NVIDIAの進撃はどこまで続くのか

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元々PC向のグラフィックボードのメーカーであったNVIDIAは、AIの学習、推論エンジンとして、GPUが利用されるようになり、いつの間にか、AI向けGPUチップメーカー、ボードメーカーとして世界をリードする企業になってしまった。

このNVIDIAの動きが激しい、そして極めて攻撃的である。

2020年7月、NVIDIAの時価総額は2,510憶ドル(26兆円超え!)に達し、Intelを抜いてしまった。半導体メーカーとしては、TSMC、Samsung Electronicsに次ぐ3位である。

そして、この強烈な時価総額をレバレッジにするのだろうか? 何とARMを買収する協議に入っている模様だと報道されている。(8月3日前後の報道)

この買収に関しては、業界では、“無謀”だとか、“業界にとって最悪のシナリオ”、等々、否定的な意見も多いようだ。ソフトバンクは、320憶ドルでARMを買収したが、恐らく、今の時価総額からすると、もう少し高くなっている可能性が高いだろう。350憶ドルだと仮定して4兆円レベルだ。確かに経営という観点から見ても、よほどのシナジーをARMと生み出せない限り、“無謀”という意見にもあながちピント外れとは言えないだろう。

一方、本業のAIソリューションの事業は独走を続けていると言っても過言ではないだろう。最近リリースされた、Jetson Xavier NXはAI性能として、21TOPSを叩きだし、消費電力も大幅に改善。(電力費で言うならば、Nanoに対し軽く数十倍のパフォーマンスとなる)そして、開発キットの価格は、日本で約55,000円程度。

全世界の600万人以上のエンジニアにメリットを与えると豪語していたNVIDIAであるが、こうなってくるとかなり“野望”に近づいている気もする。

当面のAI分野でのチップ戦争をGASKETが考察してみた。

対抗できるとすると、IntelのMyriadシリーズのチップ、そしてXilinxに代表されるFPGAでのソリューション、次は、GoogleのTPUだ。超ハイエンド、例えば、自動運転などのソリューションはおそらくFPGAが最有力。Myriadは、ドローンとか、ロボティクスのCPUボードに搭載され利用されるだろう。いわゆるスクラッチ開発系で強みを発揮すると思われる。もちろん、NVIDIAのGPUもハイエンドユースはあるだろうが、どちらかというと、サーバ(クラウド)ユースが彼らのビジネスの主戦場になるだろう。残る市場は、少量多品種的な開発現場向けだ(特にエッジ系)。この市場はおそらく、Jetsonシリーズと、Google TPUが争うことになると思う。Jetsonが、エッジ系すなわち、組込系を制覇するならば、当面NVIDIAはその勢いを持続させることになるだろう。

少し話題がそれるが、ここでふと、思う。

あれれ?日本の半導体メーカーってどうするんだろう?

GASKETが知っている範囲だと、多くの日本のメーカーは、量子化でのアプローチをしているように思える。すでに押さえられている市場以外、すなわち隙間を探すと、そこしか残っていない、ってことなんだろうと思う。

だが日本のメーカーは、2022年までには、とか、2024年にはリリースできるとか、あまりにも時間軸がずれ過ぎている気がするのだ。AIの分野は画期的なアルゴリズムが出てくると、ハードウェア(チップ)への要求ががらりと変わる世界であり、実は極めてリスキーなのだ。日本のメーカーにはここに気付いて欲しいと強く願う。