http://photozou.jp/photo/show/124201/240083852

AIに問われる新しい課題

AI /

お盆シーズンにおける高速道路の渋滞予想を今年は見送る、と道路公団各社が発表。実際、今日(2020年8月13日)の東名高速は、上りがかなりヘビーな渋滞を起こしているが、下りはほとんど起きていない。例年なら考えられない現象だ。帰省自粛が求められていることから、下りに渋滞が起きないことは誰でも予想できる。だが、なぜ上りが渋滞するのか?その真相は徐々に明らかになっていくのであろうが、恐らく帰納法的な結果論に終わるのだろうと思う。

コロナ禍で地球全体のあらゆるマクロ動向が変わってしまった。変わったというより、まさに新しい姿になってしまったわけである。ここで、AI、特にビッグデータ的なアプローチからマーケティングの予想などをする手法のほとんどが役立たずになってしまった。先述の高速道路の話もそうだ。その年により、祝日の並びが違うので、そこは最適化する必要があるが、何十年か分のデータがあれば、今のAIなら(ちゃんと開発すれば)かなりの精度で推論できるはずだ。

しかし、政治、経済、そして一番大事な人々のマインドが日々のニュースやデータに翻弄され、マクロ動向が日々動いてしまうミクロ動向になってしまった。

コロナへの対応が変わっていき(収束でもWITHでも何でもいい)、人々の行動が固定化されていけば、再びビッグデータをぶん回して新たなデータを作れば良いのだが、これはビフォーコロナに戻ることは無い、という前提ではあるが、果たしてアフターコロナで人々の行動は固定化されるだろうか?いずれそうなるだろうが、マーケティング的に言うなら、過去には経験のしたことが無いほどこれから長い時間、“暴れたデータ”と付き合う羽目になるだろう。例えば、最近はDIY市場が活況だという。外出しないで時間をつぶし、かつ、有益だ、ということらしい。だが、今DIYを始めた人がいつまでもそれを継続するだろうか?中にはその趣味に目覚める人も存在するだろうが、恐らくほとんどの人は飽きてドロップするはずだ。その時に、代わりに何をしているのだろうか?

つまりこれから最低でも数年、長ければそれ以上、ビッグデータ手法はマーケティング目的の利用には極めて辛い状況が続く。数か月の寿命でマクロの動向が変わってしまうからだ。普通に考えると分析期間を短くしていく手法を取ることになる。大きな流れは数年後に明らかになるとして、“暴れたデータ”からでも企業は何か掴み取らなければならない。

平たく言うと、今、店舗に来ている顧客をその場で分析し、その場でリコメンドをできるくらいの速度感が要求される。例えば、この一週間の顧客の行動分析から、AIの学習を随時更新していくくらいのスピード感が必要だ。

技術的には、エッジAIデバイスの高速化、低価格化、メッシュネットワークなどによる自律的ネットワーク構成からのダイナミックなデータ連携、さらなる低消費電力化、そしてプライバシー問題の排除(特にコンピュータビジョン系)の徹底。ここまでは簡単に思いつく。

もうひとつ。重要なアプローチがある。それは学習時間の短縮だ。

ノースカロライナ州立大学の研究者らが35th IEEE International Conference on Data Engineering (ICDE 2019)で、ディープニューラルネットワークのトレーニング時間を最大69%短縮可能な新手法について論文を発表した。ニューラルネットワーク層に入力されるデータ値の類似性を利用した、Adaptive Deep Reuse(ADR)と呼ばれる手法だという。

多少、精度は落ちるらしいが、学習時間が短くなる、ということは同じ演算パワーの環境であれば、今までより早く学習モデルを更新できるし、演算パワーが低い環境でも学習が可能になる可能性が出てくる。つまり、学習自体は難しいとされてきたエッジAI分野でもリアルタイムに近い学習モデル構築が可能になるかも知れないのだ。

エッジAIデバイス(ハードウェア的なアクセラレータチップ)は本格的競争が勃発した。しかし、エッジAI側での学習にポイントを置いているチップは現在存在していない。だが原理的には、(CNCに特化したチップとかでなければ)学習にも利用できるはずだ。この新しい課題は新たなソリューションとビジネスチャンスを生むだろう。