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一粒で何度も美味しい!「動画ウォッチパーティー」はニューノーマルなライブイベントの鍵になる

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サザンオールスターズが無観客ライブを行った。伝えられている情報によると、視聴料3600円に対して18万人が登録、売上は6億4800万円。会場となった横浜アリーナを1万円で1万7000人で満席にしても売上は1億7000万円。制作コストは同じ演出をしたとしても、会場誘導などのコストはかからない。

物販がないとか、サザンだからできたとか、そういう議論は他にお任せするとして、今回の件は自宅からVODで音楽ライブを見るという体験を多くの人に知らせることができたという点では非常に重要なことだと考える。

3月にミューザ川崎シンフォニーホールが実施した無観客ライブ配信「東京交響楽団Live from Muza!」はニコ生でライブ&タイムシフト配信されている。この時の話はLIVE! GASKETでも紹介をしている。

ここで注目したい話を聞くことができた。ニコ生というプラットフォームで配信されたので、普段からクラシックに触れている層ではない人たちが多数クラシックをライブで体験したのである。主催側はそのことは承知していたので、様々な説明的な演出をする考えであったようだが、ニコ生側からはいつも通りにやって欲しいという話があったそうだ。そのため特別な演出をすることなく、粛々と一部始終をライブで配信したとのことだ。これが正解だった。当日の内容は現在もオンデマンドで視聴することができるのだが、収録した内容を日時を決めて再放送的に配信を行ったそうだ。

この時に、実際に演奏を行っていた演奏家がニコ生に「降臨」し、演者ならでわの視点から参加し、解説的なコメントを演奏の進行に応じて発信したのだ。これが視聴者にも演奏者にも非常に新鮮なことだったようだ。当たり前だがリアルタイムのライブ本番中には演奏者にこれができないからだ。

これはFacebookの「動画ウオッチパーティー」と同じある。再放送のように日時を決めることで、その瞬間にはリアルタイムで同じコンテンツを共有体験しながら楽しむということだ。オンデマンドによるコンテンツ視聴とは別の楽しみ方がそこにはある。

オンラインのライブ配信は、サザンの例でもわかるようにオフラインに比べて料金が安く設定されることが多い。というか今回のサザンの例でほぼ決定的になったとも言える。だが現場に収容できる数の何倍もの参加が可能であること、再放送的な場面で演者が参加することなどによって、参加者をさらに増加させる可能性があることを示したのではないだろうか。

類似のことを体験できる「GayaR(ガヤール)」というアプリがある。ガヤとは声援のことで、なかなかいいネーミングだ。

スポーツのテレビ中継の、副音声実況のようなものと、視聴者が声援メッセージを送れるというサービスだ。配信の権利などの問題をクリアする必要はもちろんあるが、スマホというツールで体験を共有するという点でなかなか興味深い。GayaRも再放送的に配信をしたり、実況部分をさまざまな実況者が参加できるようにするという楽しみ方もあるはずだ。ゲーム実況がかなり人気を得ていることも参考になる。

いまのGayaRでどこまで権利などをクリアできるか、ビジネスモデルを確立できるかは今後の課題だと思う。今後もエンターテインメントやスポーツの領域において、従来と全く同じような密な環境による楽しみ方ができるかどうかは未知数である。こうしてニューノーマルなライブの楽しみ方の模索が着実に始まっている。