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飲食店の満空情報に関する考察

AI/Digital Signage/IoT /

飲食店の満空情報に関するニーズを考えてみる。一口に満空情報と言っても業種や代替手段の有無によってさまざまであるが、今回は飲食店(フードコートなども含む)に特化してみる。

まずはじめに、ここで言う満空情報とはある瞬間における飲食店の混雑状況のこととする。予約状況とは意味合いが異なり、あくまでも「いま」の話とする。また飲食店以外の場所の満空情報は飲食店とは異なり要素が関係するので。ここでは考察対象としていない。それは別途機会があれば記事にしてみたい。

1 飲食店の営業形態による違い

殆どの席が予約で埋まってしまうような店の場合は、満空情報はあまり意味を持ず、必要なのは未来の予約状況であり、予約状況を店の前で表示しても意味がない。また満空情報は常に空席のある店でもあまり意味を持たない。つまりそれなりに繁盛している店であることが満空情報を必要とする条件である。

また満空情報が必要な人は誰かというと、それは言うまでもなくお客様である。ではこのお客様というのは誰かというところも重要だ。常連さんなのか、一見さんなのか。一見さんであっても常連予備軍なのか、それとも二度と来ないかもしれない旅行者なのか。

常連さんであればいつも混んでいる店の状況を知って、空いているタイミングで行こうと思う確率は高い。ただしそれば飲食店までの距離が近いことが条件になる。東京にいる人が札幌のスープカレー屋の現在の空き状況を知ったところでどうにもならない。近隣の常連であれば店に行く前に事前にスマホで情報を知りたいと思うだろう。

また客の滞在時間や店の規模によってもニーズが変わる。10人しか収容できない店と100人である店、ラーメン店と居酒屋とフルサービスレストランではニーズが異なるはずである。またフードコートという形態にはまた別のニーズがある。待っている時間は買い物をしてくれる時間になり得るのは重要だ。待ち時間で買い物をしてもらい、その後に再び戻って買い物をしてもらえることがベストソリューションである。ではその実現方法は?答えは見えているがここでは書かない。

フードコートは混雑状況に加えて席取り問題と決済問題が課題である。

2 満空判定方法は複数用意されるべきである

満空の判定にも様々な方法がある。まずは入退店社数をカウントする方法。来店者から退店者を引けば滞留者数がわかるというもの。通常は出入り口で何らかの方法でカウントを行えばいい。それはそのとおりなのだが、これは出入り口が複数あったり、出入りがオープンな構造だと難易度が上がる。特に複数箇所のデータをどこかで集約する方法、通信で行う場合はそれはどういう通信か。有線を引き回すことは現実的には不可能。WiFiと言いたいところだが果たしてそれは現実的かなどなどだ。これも解決法が存在する。それはLTEではない。

カウント方法もAIカメラによるもの、さまざまなIoTセンサーを使うもの、単純なマットスイッチなど方法はたくさんあり、その使い分けや組み合わせがポイントになる。トイレに行くことが多いような店ではその対応も必要になる。店内が見渡せるのであれば店員が人的に判断してもよいが、忙しい接客中には忘れがちになるだろう。

AIカメラは汎用的な検出方法ではあるが、現場での調整が必要だったり、昼夜で明るさが変わる場合の補正問題などをクリアしなければいけない。こうした検出のためには、ある程度の運用側の協力を求めることができれば課題は一気に簡単かつ安価に処理することができるようになる。これも案外シンプルな方法で解決ができる。

3 混雑予測や空席予測ができるか

人数カウントを行って滞留者数を計測したとして、例えば100人を超えたら満席という、「満席」か「空席」かという二者択一でいいのかも重要である。表現方法の問題である。またいちばん重要なことは、来店者にとって必要な情報は満席であるかどうかではなく、いつになったら入店できるのかである。「満席」と言うのか「5分待ち」と言うのかで意味合いはまるで変わってくる。そしてこの「5分待ち」と言う情報を何を根拠に算出するのかという問題になる。

4 告知方法はスマホかサイネージか。サイネージはどこにあるのか。

そしてたぶん満空情報の提供において最も重要なのは、その情報をどこで何で提供するかである。その昔のハリウッド映画で登場するロードサイドモーテルでは、空室がある場合に「VACANCY」という表示が点灯していたのを見たことがあるだろう。日本のラブホテルなんかでもいまでも見かけることがある。これらをスマホで見られることで利用者の利便性が向上するだろうか。

満空情報は、その殆どが現場または現場周辺で提供されてはじめて意味を持つ。つまり店頭だったり、せめて歩いて行ける範囲である。また代替手段が存在する場合には、駐車場情報のように近隣情報をまとめて提供したほうがメリットがある場合もある。

5 その満空情報は平和利用と将来性があるか

混雑していない、空席であるに決まっている時間帯、あるいは閉店後や休業日に掲出する情報のことを考えておく必要がある。それは飲食店ならメニューだったり店内の様子でもいいだろう。ここまではデジタルサイネージ的には当たり前の話である。人数カウントにAIを用いるのであれば、同時に属性を取得することが可能である。行動なCRMやデータサイエンティストによるビッグデータ解析でなくとも、時系列での年代と性別がわかるだけでも、今まで見えてこなかった傾向値が見えてくるものである。

満空情報一つとっても、このように様々な要素が絡み合っている。こうした情報は、必要な場所で、最適な方法を用いて、必要な人に届ける必要がある。これは現在と未来の時間要素と、情報受信者の状況を深く検討する必要があるということだ。これらは新型コロナウイルス感染症を契機とした三密回避によって一気に表面化した課題であるが、元々存在している課題なのである。

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