路線バス三密対策へ予算づけ

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新型コロナウィルス感染症対策、そして経済の激しい落ち込みに対し、政府は週明けにも2次補正予算を提出、今月中旬までの成立を目指している。2補正予算の規模は約32兆円(所謂「真水」部分)とされているが、その中心は医療体制の支援に加え「家賃」補助を柱とした企業の資金繰り対策となっている。そういった柱の施策の中、やや影は薄いが、この中でいわゆる「三密」対策の一部として、国土交通省が所管する地域公共交通に対する対策を取り上げてみたい。

上図「1.従業員と利用者の感染防止の徹底」のうち2番目に「地域公共交通における感染拡大防止対策」と掲げられている。また、「5.新たなサービス・ビジネスモデルへの円滑な移行」にも同様の表現がなされている。

これらの対策予算規模は138億円を超えるものとなっているが、現状、事業者に対しては、下図のような具体的対策例が示されている。ココでのポイントは、公共交通機関の「密」といえば、首都圏の電車が真っ先に思いつくが、地域(駅から先の家まで、あるいは地方都市を意味すると思われる)においては、電車や船舶に加え、乗合の「路線バス」もその重要な対象とされていることだ。

上図の「補助対策経費」4番目、「混雑時の移動(密な移動)回避を目的としたリアルタイム情報を提供するシステム導入」が少々気になる。右下にカナダ・transitと記したグラフが示されているがこれでは何がしたいのかよくわからない。

これについては、先月27日、「国土交通省は混雑状況をリアルタイムに把握できるアプリを開発予定」と日本経済新聞社が報じている。この中で乗客数を把握する手段は「社内の映像や車両の重量」であり、「集めたデータは人工知能(AI)で分析し、効率的なダイヤ編成にもつなげる」としている(残念ながらこの報道のもととなる資料等は国交省からの正式リリースがなされていない)。

確かに利用者としては、実際の混雑具合は知りたい情報の一つであり、ドライバーとしても伝えたい情報だろう。また、リアルな情報を蓄積することでその後の予測にも役立つだろう。

利用者としては、こういった情報をもとに、別の便に乗り換えたり、タクシーを利用するなど、臨機応変な対処が可能になる。事業者としては、臨時便を投入したり、路線バスにおいても予約乗車を導入する判断基準となるかもしれない (さすがに、物理的な満員以下で「乗車拒否」までは無理があるか・・・)。今後の発表に着目したい。

ところで、映像による乗客数把握のためのデバイスは、ピープルカウンタとして市場ですでに実現されているため、次は「バス」という過酷な環境の中での設置、実証実験を経ることで必要十分な情報は収集できそうだ(「重量」から推定するのは実は結構難しいのではないか?)。残る課題は「コスト」と「メンテナンシビリティ」との見合いだろう。 特に路線バス事業者の多くは慢性的な赤字体質(自治体からの補助金でなんとかしのいでいる)であり、感染症対策のハードウェア投資や座席減などによる収入源で、財政的余裕が全くない事業者も多い。各個別の実態に即して、無理に高度なツール、コストをかけて自動化しなくても、ドライバーが、混雑状態を把握して、ポチっとスイッチを切り替える程度でも十分な場合もあるだろう。

CO2濃度で乗客数を判定という方法もある(エコモット社)