リモート授業をやってみて思うこと

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筆者は専門学校で放送業界を目指す学生に、プロデュース論という講義を担当している。今年は2年生を担当していて例年は半期だけなのだが、今年は縁あって通年で週1日、2クラスを担当することになった。

講義は本来であれば教室で対面で行うことになってなっていたわけだが、昨今の状況下ではオンラインということになる。この学校ではツールはZoomを使っている。初回と2回は、筆者はあえて学校に出かけてオンライン講義を行ってみた。

誰もいないいない教室から

講師から見える画面はこんな感じ。50名以上が同時に受講しているので一覧できない。

なぜ講師側の筆者もオンラインで自宅など講義を行わなかったのか。それは体験を重視したからである。通常のオフライン講義は教室に学生がいる。聞いてるのか聞いていないのか、寝てるのかどうかは現場で時間と空間を共有すれば全部わかる。オンラインではそれは正直わからない。そうした違いの中で、教室という場所に片方側だけでもいれば、臨場感を感じて講義ができるのかを確かめたかったからだ。答えはどうだったか。ほとんど関係ないことがわかった。

もう一つ確認したかったことがあった。それはパワポなどで講義資料を作成して、画面共有で講義をするとどうなのか。これは一長一短あることもわかった。パワポで作った資料は完成度は高く、学生側にもわかりやすい、とは思う。きれいに作れれていて見やすい。

しかし、だ。ウェビナーなどもそうだが、この形式だとわかった気になるだけなのではないか。その場においては理解した気になるのだが、少なくとも筆者はピントと来ないのである。筆者は数え切れないくらいのセミナーをオフラインで行ってきた。これらではパワポやキーノートで資料を作り、演台などからその場にいる人達に語りかける。資料と話し手が同時に視界に入っている。実はここがものすごく重要であると思っているのだ。

ここでオンライン授業の先駆者である、東進ハイスクールの例をご覧いただきたい。

彼らは黒板を使い、手書きで板書を行い、講師はワイプで小さく表示されるのではなく、黒板と講師は同じ画面の中に混在しているのである。

これは筆者が先日行ったDSJ2020のオンラインセミナーのキャプチャーである。アーカイブもあるのでご覧頂きたい。

この時もまた試してみたかったことがある。主催者さんの環境がとても良くできていて、パワポなどの資料の手前に、クロマキー合成で筆者が合成できたのである。そこでこのときは全編クロマキー合成だけでやりきった。これはこれで、Zoomの画面共有に比べたら遥かに臨場感があるのではないだろうか。

オンラインで講義やセミナーを行う場合には、ポイントがいくつかある。一つは板書である。黒板にチョークで文字を書く。これは講師の手の先から次々と文字が生み出される。カタカタと音も聞こえる。これは非常に重要なことではないか。学生の注目は手に、指先に集中する。講師の手はまさに神の手なのである。パワポの資料ではこれができない。「いやいや、パワポにペンタブなどで書き込めばいいだろう」という指摘が聞こえてきそうだが、それは甘いのではないかと筆者は強く感じている。講師の手から文字が生み出されないからだ。威厳がないのだ。ありがた味がないのだ。手書き文字であればいいということではないのである。

ではどうするのが正解なのか。毎回毎回板書するのは正直大変だ。リモート授業で自宅から講義をやろうとすると、黒板を用意して、黒板と全身が映るかカメラやレンズを用意しなければならない。これは正直大変である。

パソコンのカメラで講師は立って講義を行う。資料は予め作成したパワポやキーノートなどで構わない。これに講師が手書きで必要なことを書き加える。書き加えている状況は手先も含めて合成されて表示される。

仕組み的には、2つのレイヤーで構成されていいて、バックグラウンドから資料ファイル、講師の順で合成される。合成のためにグリーンバックの環境を自宅に用意するのは大変なので、室内であっても人物だけが自動的に切り抜いてもらいたい。講師は手に何かペンのようなものを持っていてそれで板書するような動きをすると文字が表示される。この時に一番難易度が高いのは、講師が自分が書くべき場所、書き込むべき場所をどうやって認識するのかである。これは前述のDSJ2020セミナーでお天気お姉さんのようなことを体験してわかったことだが、モニターを見ながら手を一定時間キープしたらシステムが位置座標を認識して欲しい。そこから文字を書くと手書き文字が生成される。これが画像から位置情報を認識して線を書くか、あるいはペン側に同じ仕組みをハードウエア的に入れるかどちらかだろう。

こうした一連の仕組みは、今の技術であればパソコンのソフトウエアはもちろん、スマホ単体でもできるのではないだろうか。誰か開発してくれないものだろうか。売れると思う。