逆襲のArduinoとなるか PORTENTA H7

AI/IoT /

まだIoTという言葉がバズる前にフィジカルコンピューティングいう言葉でモノづくりへの回帰を狙い、教育用やホビー用としてワンボードCPUボード Arduinoがリリースされ始めたのが、2005年。デファクトスタンダートとなったRaspberryPiよりも実は7,8年も早いのだ。イタリアが故郷だというのも正直当時は違和感を覚えたものだった。

Arduinoは創業メンバーらが権利関係でお家騒動にまで発展し、製品ラインナップも迷走しはじめ、“だからオープンソースハードウェアなんて怖くて使えないのだ。” という意見に加担することになってしまっていた。

ぼ~っと生きてたわけじゃないのだが、Arduinoのニューラインナップ PORTENTA(何て発音するのかわからない。ラテン語で前兆という意味らしいが…)はCES2020で発表されていたらしいのだが、筆者はそれをキャッチできていなかった。

2020年2月には発売と当初リリースしていたが、残念ながら現在は5月には何とか… な雰囲気になっている。詳細のスペックはこちらを参照いただくとして、いくつか面白い点が見受けられる。CPUはSTM32H747。なんとデュアルCPU構成(コアの数ではない)だ。狙いはこうだ。機器組込のコントローラとして低速側(240MHz)のARMアーキテクチャのCortexM4でロボットアームを動かすとか、計測制御をする、という今までのIoT的な動作をさせる。一方CortexM7(480MHz)では、TensorFlow Lite などAI処理や、重たい処理をさせ、両CPUでシームレスにプロシージャコールをかけられるらしい。

エッジAIを現場で動作させようとすると(RaspberryPiなどの安価なデバイスで)、AI(特にコンピュータビジョン系)を動かすと、本来の制御系のことがまったくできなくなってしまい、こういったボードが二枚必要になってしまう、という場面に遭遇する。

果たして、このPORTENTAがTesorflowをどの程度のスピードで動かせるかは入手でき次第またレポートしたいと思うが、機器組込のエンジニアからするとかなり面白いアプローチだと思う。

もうひとつ重要な点は、Arduino陣営がこのデバイスに限っていうならば、完全にホビー用途ではない、ということだ。オプションの価格がわからないが、素では99ドル。これはホビー層をマーケティング的にターゲットしていない、ということだ。

ちなみに、Webには“オプションの類は営業と打ち合わせして決めろ”とか、“最低発注数量が存在する”、みたいなことが書かれていることからも、あくまでも産業用途利用をターゲットにしているのは間違いない。

RaspberryPiのComputeModuleしかり、このPORTENTAしかり。間違いなく、オープンな環境はもっと産業用途を侵食していくはずだ。