業協から主協への申し入れとウイズ コロナな屋外広告の行方

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少し前の話であるが、4月8日に業協から主協に向けて「新型コロナウイルス感染拡大期における安全な広告制作ガイドライン遵守のお願い」という重たいメッセージが発せられた。

業協とは広告会社の団体である一般社団法人日本広告業協会で、主協とは広告主の団体である公益社団法人日本アドバタイザーズ協会のことである。

■新型コロナウイルス感染拡大期における安全な広告制作ガイドライン
A:緊急事態宣言発令期
⑴ 撮影を伴うものは延期を基本とする。
B:緊急事態宣言発令期に限らない感染懸念のある時期
⑴ 撮影を伴わない企画、あるいは「3密」を避け感染リスクを最小限にした撮影による企画・手法を積極的に採用する。実施する場合も、関係するスタッフの安全を最大限確保する。
⑵「3密」が避けられない撮影を前提とする企画は、低リスクな手法への変更(別撮と合成、CG等)、撮影の延期、規模縮小を協議する。
⑶ PPM、編集作業など、オンラインで可能なプロセスはリモートで行うことを要請する。(筆者追記 PPM=Pre Production Meeting)
⑷ 感染リスク回避策に伴う、スケジュールの変更、費用の変更については、広告主、広告会社両社が理解をもって協議する。

筆者はテレビだけではなくテレビCMの制作、それもビデオではなくフィルム撮影や、編集などのポストプロダクション実務を5年以上経験しているので、上記の業務の感染症に対しての危険性はとても良くわかる。同時に回避策と、回避策を取っても制作できるクリエイティブは無いわけではない。別撮と合成、CG等と言う部分だ。映像編集や音楽録音はリモートで行うことも不可能ではない。

これらも含め、広告媒体社には厳しい向かい風が吹き荒れている。

GASKETの運営会社であるビズライト・テクノロジーは、最先端の仕組みを持った電車内のデジタルサイネージ広告事業を4月からスタートさせたところである。結果的にはタイミングとして非常に厳しいスタートだ。要請とはいえ、移動者が大幅に減少しているために屋外広告全般に対して言えることだ。

仮に東京エリアで爆発的な感染が明らかになった場合に、最悪のシナリオとして公共交通の運行制約、マーケティング活動への制限が出る可能性を考え始めている。完全に電車が止まるとか、広告が一切禁止という事態はないと思うが、その手前レベルは否定できない。運転本数の減少の場合は、広告媒体としての価値は著しく低下することになるので、純広による直接売上だけではない価値を考える必要がある。

直近はもちろん、今後長期的に見て移動者がどれだけ減少するかであるが、屋外広告におけるメディアコミュニケーションの原理原則とは、生活者(この場合は乗客)の意志によらない、偶然で出会い頭のコミュニケーションということになる。

他のメディア接触も、感染症によって変化している。直近で言えば、NetflixなどのOTT系のサービスもそうだが、ケーブルテレビやスカパーの専門チャンネルの視聴が大きく伸びている。

広告の上流の制作から、下流の放映掲載まで、様々な前提が大きく変わっている。これはもちろんある程度は一過性のものだが、長期戦になると考えるべきだ。