試着の顧客体験を変えるKITEKU

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若者にとっても試着は億劫なものらしい。うちの高校生の娘もショップで試着をすることに抵抗を感じている。先日も買い物に同行した際に、試着はうざくて面倒だとこぼしていた。洋服を買う際に、おじさん世代の筆者も店員から声をかけられるとプレッシャーを感じるし、試着=購入という図式が頭に浮かぶが、若い世代も店頭では同じような感覚に陥っているようだ。

一方、成長しているネット通販では、試着できずに失敗するリスクがある。返品無料をうたうサイトが増えているが、返品の手間や物流コストが増加し、販売会社の利益を圧迫するという課題もある。

多くの課題を抱える試着を解決しようというベンチャーが登場した。株式会社SPRING OF FASHION(本社:東京都渋谷区・代表取締役:保坂忠伸)は、3月11日から、株式会社R1000が運営するレトロガール、エムズエキサイトと、株式会社エルベンが運営するエゴイスト、株式会社レイ・カズンが運営するレイカズン、ミューカへが無料で店内にある服を着て外出できるサービスKITEKU(キテク)をスタートした。

様々なサービスが無料体験を押し出す中で、KITEKUは短時間とはいえ、洋服のフリーミアムにチャレンジしている。KITEKUは、利用者が無料で店内にある服を来て最大120分間外出することが可能だ。試着の枠を店外に広げ、日常の中で洋服を試せるようにしたのだ。利用者は120分の間に街中で写真を撮影して、指定されたURLと共にSNSに投稿して、着用した洋服を販売することができる。

投稿者は、商品が購入されると販売価格の10%を報酬として受け取ることができ、さらにインスタグラムに投稿した写真についた1いいね=1円を受け取れる。フォロワーの数に関係なく誰でもこのKITEKUを利用できる。

2019年11月末よりテストが行われてきたが、利用者の投稿により、導入店舗の売上は上がっているそうだ。インスタグラムのフォロワー数が2万以上のインフルエンサーが利用したり、3,000フォロワー程度の利用者の方で月10,000円以上の報酬を得る人が出るなど実績が上り始めている。

店舗、商業施設、消費者、投稿者のそれぞれにメリットを与えている。
■店舗:SNSでの投稿による商品認知の獲得、客数増加、売上アップ
■商業施設:試着機会の提供による来店促進&試着を通じた売上構築
■消費者:自分に似た投稿者の写真で試着せずに商品を疑似体験
■投稿者:インフルエンサーでなくてもモデル体験、収入の確保。

デス・バイ・アマゾンにより、多くの商業施設や店舗が閉店に追い込まれている中で、KITEKUは“試着”というリアル店舗でしか体験できない特徴にポジティブな価値を見出した。試着を顧客の苦痛から報酬に変えることで、商業施設や店舗に新たな魅力を生み出した。リアル店舗を活性化させるためには、まずは、このサービスの認知を高め、利用者を増やすことがポイントになりそうだ。