大企業出身のミドル世代のスタートアップ「Cuzen Matcha」

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筆者は表千家の茶道を習い始めてから3年になる。お茶の師匠がたててくれる日本茶を飲むことで、日本茶の美味しさを再認識できた。以前は各家庭に急須があり、淹れたての日本茶を楽しんでいたが、最近はペットボトルで日本茶が飲むことが当たり前になり、本当に美味しい日本茶を飲む機会が減り、茶葉の生産農家にも影響を及ぼしている。

そんな課題を解決するために2人の男が立ち上がった。元サントリーで日本茶の新商品・事業開発を担当した塚田英次郎と八女茶に携わる方々に囲まれて育ってきた八田大樹は、「美味しい抹茶を、誰でも、簡単に楽しめるソリューション」をコンセプトに世界進出を狙っている。

2人はWorld Matcha Inc.を起業し、抹茶の飲用機会を世界に広めていくソリューション「Cuzen Matcha」(クウゼン・マッチャ)を今年のCESで発表した。このCuzen Matchaは、エスプレッソマシンならぬ、「抹茶マシン」だ。クールなデザインと斬新なコンセプトで、CESに初出展ながら、イノベーション賞を受賞し、多くのメディアに掲載された。

残念ながら筆者は今年のCESには参加できなかったが、このプロダクトを体験するために、先日行われた「CES2020報告会、テクノロジーとスタートアップの最新潮流~日経イノベーション・ミートアップ」というイベントに参加し、このプロダクトを体験してきた。

昨年1月にこのプロダクトのコンセプトを考えたCEOの塚田は、5月にはプロトタイプをつくり、10月には第三者割当増資を実施し、総額US$1,000,000(約1億1000万円)の資金調達に成功する。

CESに出展する直前にCuzen Matchaをギリギリ完成させ、メディアや来場者の話題をさらった。Cuzen Matchaに抹茶を挽く前の茶(碾茶)を入れ、カップに水を注いでセットし、ボタンを押せば、美味しい挽きたて「抹茶プレッソ」が出来上がる。私もイベント会場でこの抹茶を体験したが、香り豊かな濃厚な抹茶を楽しめた。

Cuzen Matchaは顧客体験で、抹茶を広めようとしている。Cuzenは漢字で「空禅」と書くのだが、ホワイトカラーのマシンも禅を意識したシンプルなつくりで、抹茶の世界観を表現している。

出来上がった抹茶をユーザーの好みで楽しむために、あえて抹茶プレッソをプロダクトにしたのだ。抹茶をミルクや炭酸水、あるいはワインと組み合わせることで、抹茶の世界感を広げている。

Tasty,Easy,Customizable&Healthyを生活者に提供することで、コーヒーのように日常化でき、毎日楽しんでもらえるようになる。「良質な茶葉×碾きたて×水出し」の美味しい抹茶を自宅やオフィスで気軽に楽しめることにこだわっている。

飛躍的に海外マーケットをつくるためにはブランディングが重要で、同社はクールでヘルシーな世界観を追求している。彼らはオーガニックの茶葉にこだわり、生産農家や地域にも協力を求めている。日本基準ではなく、世界基準の茶葉を輸出することで、世界中の人々を健康にすることを目指している。

世界で日本産の高品質のお茶の需要を新たに作り出すことで、お茶の生産地をサポートしながら、アメリカの生活者が抱えるカフェイン問題を解決することを同社は目指している。Cuzen Matchaが普及することで、様々な課題を解決できそうだが、今回のCESがその第一歩になった。

塚田氏はCESを活用するために、短い時間で準備し、実際にプロダクトをリリースし、多くのメディアやユーザーを虜にした。大企業出身のミドル世代のこの動きを多くのスタートアップは参考にすべきだ。

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