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新型コロナウイル対策をベトナムホーチミンから考える

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ホーチミンのホテルでこの原稿を書いている。筆者は年に何回かベトナムを訪れているが、今回、街の様子がいつもとは違うことに気が付いた。今までバイクに乗る人しかマスクをつけていなかったが、ホテルや飲食店のスタッフが当たり前のように全員マスクをつけている。街を歩く人たちのほとんどがマスクを身につけ、新型コロナウイルスを警戒している。

ホーチミンのホテルにチェックインするときも、新型コロナウイルスのアンケートを要請された。入国に際し、中国を経由していないか?発熱はないか?咳などの症状はないか?のアンケートに答えることで、ようやく鍵を渡された。

ハノイの空港でもデジタルサイネージで、新型コロナウイルスへの対策が啓蒙されていた。実際、水際対策が進んでおり、ベトナムの空港では13日までに新型コロナウイルスの感染疑いで127人を隔離したほか、過去14日以内に中国への渡航・滞在歴がある297人の入国を拒否したそうだ。

ベトナム保健省は、新型コロナウイルスの情報をまとめた公式アプリ「Suc khoe Viet Nam(ベトナムの健康)」をリリースした。なんとこのアプリは、保健省からの依頼を受けたベトナムの通信大手ビッテル(Viettel)が、6日間という短期間で開発した。

新型コロナウイルスに関する最新情報や予防方法を確認できるほか、症状の自己診断ができる。最寄りの病院情報を検索することもでき、感染の可能性がある場合には情報を登録することで、保険省や病院とのコミュニケーションが可能になる。感染の可能性のある対象者を明確にすることで、新型コロナウイルスの蔓延を防ごうとしている。

ベトナム最大のソーシャルメディアのZaloもチャットボットで新型コロナウイルスの医療情報に簡単にアクセスできるようにした。検索ボックスに「コロナウイルス保護」と入力すると、各エリアの患者数の情報や、受け入れている病院のリストを入手できる。

なぜ、これほどまでにベトナムは新型コロナウイルスへの注意喚起を行なっているのだろうか?現地の日本人に確認するとベトナム政府は今回過去の失敗を教訓にし、病気の拡大を防ごうとしている。2003年当時SARSでパニックを起こしたベトナムのホテル稼働率は6%までに低下し、経済に大きなダメージを残した。その際の轍を踏まないように、中国からの入国を制限したのだ。

中国とベトナムの関係は密接になっているが、両国は過去になんども戦争をしている。現在も南シナ海の領有権問題も抱えるなど、ベトナム国民の中国への不信感は強い。今回の政府の強権発動は、経済よりも国民の健康を重視している姿勢をアピールし、パニックを防ごうとしている。

一方、ホーチミンから日本の報道を見ると、政府の対応は後手後手だ。初期の対策が遅れ、新型ウイルスの患者が日に日に増加している。ベトナム政府の断固かつスピーディな動きと比較すると悲しくなる。日本はもはや先進国と言えるのだろうか?