補助金申請システム(jグランツ)とはどのようなものか(その1)

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官公庁に対し様々な申告、届出や申請等を行うシーンにおいて、ドキュメントの多さ複雑さそして手続きの煩雑さに悩まされることは少なくない。報告や申請すべき内容そのものの難しさについては、ある程度覚悟できるとしても、書類の提出方法や対応時間の制限、そして多くの添付書類の収集、コピー、送付といった悩ましい手続きの壁にぶちあたるのが常だ。申請者はもちろん、行政担当者にとっても電子化、オンライン化などによってこの壁を低く、薄くすることはウェルカムのはずだ。

もちろんこれまでも長年にわたり、政府や地方公共団体は、行政手続きのIT化による省力化を進めてきたようだが、数多くの中途半端な、あるいは複雑怪奇なオンライン(らしき)サービスに直面し、がっかりした経験をお持ちの方も多いのではないだろうか。

こうした実態に対し、さすがに政府も本腰を入れてきた様子であり、昨年12月、「デジタル・ガバメント実行計画」の改訂版が発行され、様々な行政サービスにおける電子化、オンライン化を強力に推し進めようとしている。各官庁と地方公共団体の成り行き任せというわけではないようだ。

実行計画を後押しする礎となってるのは、昨年5月に制定された、「デジタル手続法」で、その基本原則は次の3つ。

1デジタルファースト個々の手続・サービスが一貫してデジタルで完結する
2ワンスオンリー一度提出した情報は、二度提出することを不要とする
3コネクテッドワンストップ民間サービスを含め、複数の手続・サービスをワンストップで実現する

行政サービスをIT化するために、わざわざ法律を制定したのは、まちがいなくユーザーたる個人法人のためではないだろう。官僚・公務員にタスクフォースをかけるため、あるいはベンダーに対し中途半端なシステムを提案・構築させないためなのだろうか。

さて、オンラインでの報告、申請、届出等にあたって、重要な関門の一つが本人認証だ。情報漏洩はもとより、なりすましや権限のない者が手続きをすすめてはまずいからだ。そこでまずは「法人」の認証手続きを探ってみる。従来の書面を提出・提示する手続きでは、一般には法人の印鑑証明書、商業登記簿謄本、代表者の身分証明書(運転免許証など)といった3点セットがキーとなって「認証」が行われるが、政府が進めるデジタル・ガバメントの実行計画においてはどのようなプラットフォームが用意されるのであろうか。 相変わらず、書面を取得してPDF化し、オンライン送信とともに原本を郵送といった手続きは勘弁願いたい・・・これは前述の「デジタル手続法」違反の疑いありだ。(ここで法律を制定した意味がでてくる!)

現在、政府(経済産業省)が導入している法人向けの認証プラットフォームは、gBIZ(法人共通認証基盤)だ。このゲートを通過して行われる手続きは、すべて上記の認証手続きが免除(各手続きにおいて自動的に参照される)される(はずだ)。「印鑑証明書」も「商業登記簿謄本」も「運転免許証」も官公庁にデータが保存されているのだ。いちいちお願いして印刷してPDF化して送信、またそちらでも照合ごかけて真贋判定なんて無駄なプロセスはやめて、「どうぞそちらのサーバーにあるデータを見てください」ということになるのを期待したい。

gBIZは現在、すでにID取得(GビジネスID)が可能な状態となっており、まずは「補助金申請システム」が第1号として活用される(らしい)とのことなので、さっそくその登録手続きを進めてみることにした。
(前置きが長くなったが、本記事は、この「補助金申請システム(jグランツ)が稼働」(昨年12月25日付経済産業省発表)に端を発している)

jGrantsのサービスを受けるためには、まずは、gBIZエントリーで共通のIDを取得する必要がある。

いまひとつ何のためにあるのか正直よくわからないのだが、あっという間にIDは発行された。

gBizIDログイン後のトップページ

おそらく、申請中、申請後の様々な手続き、サービスがこのページでリスト化されるのだろう、今は何のサービスも展開されていないので、本人情報以外、ブランクだ。ちなみにログインはIDとPWのいわゆるベーシック認証のみ。

さて次に、実際のサービス、今回のテーマである「補助金申請」のサービスができるようにするためいは、gBIZプライムのアカウント取得が必要なのだ。早速取得手続きに進んでみる。

アカウント取得に必要な情報をエントリー、規約を読み、「同意」する。お、ここで「申請する」ではなく「申請書作成」なるボタンが・・・。

悪い予感は的中。最初によく読むべきだったのだが、ここで、このサイト上では登録手続きは完結せず、申請用のPDFファイルがダウンロードでき、それに登記された実印を捺印、印鑑証明書(モンスターが現る!)とともに郵送するというプロセスが登場してきた。

gBIZプライムのアカウント取得 マニュアルより

こういうことが無いようにするのが主旨ではなかったか? これは法令違反じゃないのか? 百歩譲って実印が押印された書類提出は致し方ない(法人の電子証明書/カードを用いれば押印も不要のはずだが)としても、印鑑証明書は法務局に登録されているデータだから、経済産業省と法務省が連携すればいい。エントリーした法人番号で照合するだけでいいはずじゃないか。

といった不満と疑問を持ちつつ、省庁相手にじたばたしても仕方ないので、その先に進むことにする。この程度でくじけてはいけない。印鑑証明書を素直に取得して、さらに2週間待ちという行列に並ぶことにしよう。

以上、今回は補助金申請システム:jGrantsまでに達せず、中途半端な内容となってしまったが、このこと自体もデジタル・ガバメントの進捗を評価する一要素だと思ったので、あえて掲載させていただいた。取得後の状況について、明らかになり次第本誌上で報告したいと思う。

なお、個人向けのサービスの認証プラットフォームは、やはり「マイナンバー(カード)」だ。民間の個人認証サービスのプラットフォームが無数に整備されている中、政府の執念さえ感じる。筆者が申請から取得まで3か月超を要した(昨年春実績)このカードの活用のついても、興味はある。これについても、マイナポータル活用などを進め、本誌上で報告する予定としている。なお、マイナポータルについては、筆者のAndroidスマホは対象外 (なんと、機種制限!) という関所がいきなり出現しており、相当に手ごわいトラップが数々仕掛けられてようで楽しみだ。せっかくトライするのだから、なにか驚くようなメリット、サービスが展開されることを心から期待したい。