【ダイナミックビークルスクリーン】Vol.03 鉄道車両内でのダイナミックDOOH

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都心部の鉄道車両では、ドア上にデジタルサイネージが設置され、運行情報や広告を放映するのが一般的になった。各鉄道会社、路線ごとに若干の違いはあるが、機材やシステム、また広告の販売方法は似通っている。しかし、ビズライト・テクノロジーが埼玉高速鉄道埼玉スタジアム線に設置を進めているデジタルサイネージ『ダイナミックビークルスクリーン』は、これまでの車両内サイネージとは一線を画する。6回にわたって、この取り組みについてご紹介していきたい。第3回は、鉄道車両内外の状況に合わせて、放映内容を変える「ダイナミックDOOH」について。

ダイナミックビークルスクリーンの「ダイナミック」(動的)とは、状況や時間によって変化する様を表す。一般的な車内デジタルサイネージは、予めプレイリストに登録された映像を「スタティック」(静的)に放映している。それに対し、状況や時間によって「動的」に放映する映像を切り替えることができるサイネージだから、ダイナミックビークルスクリーンと名乗っている。トレインではなくビークルというのは、対象は電車だけにとどまること無く、バスはもちろん、タクシー、あるいは今後の自動運転によるモビリティビークル全般を対象としているからである。

状況に応じてコンテンツを切り替えるためには、その状況を把握するためのセンサーやシステムが必要となる。ダイナミックビークルスクリーンには、車両外から情報を得るためのLTE通信機材と、車両内の情報を得るためのカメラおよびセンサーを搭載している。

映像を放映するためのSTBのほか、センサーやAIエッジコンピュータ、LTE通信機材などが入っている。これにより、車両内外の情報を取得し、映像の最適化が行われる。

車両外の情報としては、たとえば気象情報や在庫情報などが考えられる。たとえば、雨が降ってきたときには「ずぶ濡れになるより、やむまでカフェでお仕事いかがですか」と案内すれば、視聴者は自分ごととして受け取ってより深く伝わることになるし、実際にいますぐの行動にもつながるかもしれない。また、シアターの座席管理システムとつなぎ、映画のトレーラーを放映するだけでなく「この映画は、週末このシアターなら空いていますよ」と伝えれば、観てみたいと思うだけでなく、その場でスマホで予約してくれる可能性が高まる。

車両内については、混雑状況や、サイネージの目の前にいる乗客の属性などによって映像の切替を行えられる。たとえば、車両内にミドル層が多いときにビールの広告映像を放映するようなターゲットに合わせた最適化もできるし、混雑しているときに汗拭きシートを紹介するなど、状況に合わせた放映もできる。これも、いまそこにいるひと、いまそこの状況に合わせて最適化することで、視聴者に「自分ごと」として受け取ってもらえるようになる。

ただ、車両内のカメラ利活用については、広告主側の都合だけで考えてはいけない。プライバシーへの配慮がきわめて重要だ。もちろん、システムとしては、万全を期している。カメラで取得した映像はリアルタイムに筐体内のAIエッジコンピュータで処理して統計データ化し、即座に破棄しているため、一切録画を行っていないため、システムの不具合があったり、鍵や筐体を壊されて端末を持ち帰られたりしても、映像が漏洩することはない。ただ、プライバシーに万全を期して安全な管理を行ったとしても、乗客や生活者がそれを受け入れ、社会が受容するかは別の話だ。広告主にとってのお得だけではなく、乗客にとっても、このセンシングに基づくダイナミックな放映が、楽しい、役に立つと感じてもらうことが欠かせない。それによって、少しづつでも社会受容性を広げていくための広告を企画し、提供していきたい。