まったく新しい天体望遠鏡eVscopeは天体ファンを増やすか

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GASKETとしてはちょっと珍しく、少しマニアックな趣味の世界からのお話をさせていただこうと思う。今、フランスのUnistellarという会社がクラウドファンディングでまったく新しいコンセプトの天体望遠鏡をeVscopeをオファーし、順調に資金調達が行われている模様だ。h

従来の天体望遠鏡は大きく分けると、屈折型と反射型に二分され、光学的な構造は極めてシンプルで、光学部分に関してはおそらく百年単位で進化していない。(精度とかでなく原理的な意味)実は、筆者も天体写真を撮りたくて、ずいぶんと散財した経験がある。

読者の方の中にも、一度は望遠鏡に手を出し、図鑑や望遠鏡の外装箱のすごい星雲や銀河の写真を見て、自分の肉眼で観てみたいと思い、手を出した方もいらっしゃるのではないだろうか?

アンドロメダ銀河(100万光年地球から離れている。実は見かけの大きさは月以上だ)
M42 いわゆるオリオン大星雲

お恥ずかしいのだが、この二枚は筆者による撮影だ。プロやハイアマチュアには足元にも及ばないレベルなのだが、話の都合上お許しいただきたい。

さて、お小遣いを貯めるか、親にねだって念願の天体望遠鏡を手にすると最初に観るのは月。これは比較的簡単で、かつけっこう感動できる。いよいよ、憧れの銀河や星雲。ところが、目的の天体を視野に入れる(これを専門用語で導入という)ことができない。よしんばできたとしても(普通、できずに諦める)、オリオン大星雲レベルでぼんやりとほんの少しだけ、もやっとした“ガス”っぽいものが見えるだけで、赤やら、黄色、青なんてこれっぽっちも見えない。人間の眼は光を蓄積(累積)することができないので、弱い光だと、色を感じることができないのだ。まったくもってモノクロの世界が広がる。

今度は、なんだかよくわからないが、明るい星(恒星)を導入してみたので、倍率を上げてみる。大きく見えないか?と思うわけである。ところが、惑星以外の星は、“理想的点光源”と言って、遠すぎるので面積を持たないのである。(実際にはできないが)何百倍にしようとも、点にしか見えない。完全にがっかりである。この結果おそらく99.9%以上の人が部屋か物置を狭くすることになる。(惑星、特に火星、木星、土星は運が良いと、面積としてみることができる)

この現象は、天体機器メーカにも一部の責任がある。実際には決して見ることのできないものの写真をカタログに万歳しているのだから。夜空がどんどん明るくなっていることも併せて天体ファンはどんどん減っている。

筆者の写真は、ハイアマチュアからすると、初心者が手抜きでようやっと撮影できたレベルである。それでも、(さすがにRAW現像からはしていない)最低でも、3分から5分の露出写真(当然、一眼が必要)を何枚もスタックして、輝度とSN比を上げ、強烈な画像処理をいくつも施している。天体を追尾するために、赤道儀という架台(三脚みたいなもの)をコンピュータ制御で動かし、天体がぶれて写らないようにする必要がある。(地球は回っているから)実は望遠鏡はそれほど高いものでなくともいいのだが、ついつい良いものをかってしまいがち。100万円単位の出費は下っていない。(到達した時点だから、経過を含めると、すぐに数百万になる)

前置きが長くなってしまったが、eVscopeのコンセプトは、ある意味、この子供たちの夢を即座に実現できないか、ということだと思う。実物を見ているわけではないので、発表されていることからの想像でしかないが、簡単に言うと、集光する光学部分はニュートン型の反射モデル。従来は集めた光をアイピースと呼ばれる別なレンズで“覗く”、というイメージなのだが、eVscopeはこれをCCDセンサーで受ける。おそらく高感度にしていることや、ノイズリダクション、仮想イメージスタックなどを行い、OLEDディスプレイに表示しているのだろう。天体の導入、追尾は星の並びパターンや地磁気センサーなどを利用して、判断しているらしい。(これは過去にも存在する)ただし、経緯台方式だ。

平たく言うと、人間の眼にアナログのまま伝えていたものを、いったん高感度カメラで撮って、見せましょう。つまり、だれかが苦労して撮っていた天体写真をリアルタイムで観られますよ、ってことに近い。

導入精度、追尾(星の動きに対して)精度がどうとか、ハイアマチュアにはおそらく、簡単には受け入れられない気がするが、宇宙や天体に興味を持った子供たちに最初の感動を与えるには十分だし、けっして悪くないコンセプトだと思う。低価格、高性能化したセンサーやマイコン、スマホ(連動させる)があるからこそできたマニアックで、かつ脱マニアックな世界観。

一度は、実際に覗き込んでみたいものだ。

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