【渋谷PARCO】Vol.02 PARCO CUBEは新しい買い物体験価値を提供しているか

Digital Signage /

渋谷パルコの5Fには、OMO(Online Merge Offline)型の売り場「PARCO CUBE」がある。オンラインとオフライン、あるいはリアルとバーチャル、デジタルサイネージとスマートフォンとリアル店舗がどう溶け合っているのか、どんな体験価値を提供してくれるのかを紹介する。

まずフロアの目立つ場所に70インチくらいの大型のタッチパネルが4枚、連張り状態で設置されている。これら4面は連動しているように見えるが、独立したものが4台設置されているもので連動はない。背景の商品のサムネイルはゆっくりと横に動いているので、買い物や操作ができそうなことは伝わると思う。

4面あるので同時に4人が操作することが可能

このサイネージ自体は普通のタッチパネルディスプレイによる購入端末だ。PARCO ONLINE STOREというコマースサイトの中から、渋谷PARCO5階のPARCO CUBEエリアにリアル出店している店舗の商品を探すことができる。コマースサイトとデジタルサイネージはデザインやUIが異なり、それぞれで使いやすいように配慮されている。サイネージを操作して気に入った商品を選ぶと、選んだ商品はサイネージ内に表示される「カート」に保存することができる。カートに入れたら、さらにサイネージを操作してQRコードを表示させる。このQRコードをスマホで読み取ると、パルコが運営するECサイト「PARCO ONLINE STORE」に遷移する。PARCO ONLINE STOREのカートには、先程サイネージのカートに入れた商品が自動で入っているので、そのままPARCO ONLINE STOREで購入することができる。

この2つの端末の連携はユニークなURLに接続することで実現させていると思われるのだが、サイネージとスマホの「接続解除」という機能がなぜ必要なのかよくわからなかった。

サイネージ上で商品を選んだところ。これをカートに入れる
サイネージに表示されたQRコードをスマホで読み込む。
スマホでオンラインサイトに移動する
スマホ上には先程サイネージ上でカートに入れた商品がカートに入っている
購入画面に移動
購入のための必要情報を入力する。予め会員登録していればこれらは不要だ。

PARCO CUBEのサイトでは、次の4つの使い方を提示している。以下はWebからそのまま転記する
1 通常のお買い物通り、お店で試着・購入。
2 お店で接客を受けた上でその場にある商品をPARCO ONLINE STOREで購入。手ぶらで帰宅。
3 お店に在庫がない商品もディスプレイとスマホをリンクしPARCO ONLINE STOREで購入。
4 迷った商品はカートに入れて検討してからPARCO ONLINE STOREで購入

1は従来の買い物スタイルだ。これと比較して、2は店頭にいる状態で、レジではなくオンライン決済の方が便利というケースがあるのだろうか。大型商品はともかく、手に持てる商品を手ぶらで帰るということはすぐに使えないということだし、別途配送の受け取りをしなければいけないことになり、こうしたケースが果たしてありえるのか疑問である。3は衣類のサイズ欠品が考えられる以外に、店内で有人の接客ではなくてサイネージで購入操作をしてオンラインで購入するということはやはり後日配送になる。場所が店頭でない無人店舗とか駅ということであれば理解するが、渋谷パルコ内にいる場合のメリットがわからない。接客を受けたくない、恥ずかしい商品ということはあるかもしれないが、それを70インチのディスプレイで堂々と購入するほうがもっとはばかる気がする。4は完全にショールーミングだ。インターネットネイティブ世代がリアル店舗での買い物で不便だと思っていることは「ブックマークできないこと」である。スマホやパソコンで当たり前にできることが、リアル店舗ではできないとZ世代は強く思っている。ただし、そもそも彼らは迷うことなどなく、全部オンラインで完結させてしまうという可能性も商品によってはあり得るだろう。

スマホに閲覧履歴が残るので、帰りに電車の中や帰宅してじっくり検討することができる。まさにブックマークである。

筆者的には4以外は正直ピンとこないのだが、果たしてどうなるのだろうか。全部の商品にQRコードがついていてそれでブクマできて、店頭で買うのかオンラインで買うのかは商品の大きさ、緊急度合い、店を出たあとの動線などに依存するという単純な話ではないだろうかと思った。ここにデジタルサイネージの出番はどうかと言うと、単純な購入ならば多分不要だ。バーチャルフィッティングみたいなニーズはあると思うが、それは店頭のサイネージではなく家のPCやスマホでできてしまうことだ。

PARCO CUBEで一つはっきりと言えることは、前述の1から4のどれも新しい体験価値を提供してくれるものではない。あくまでもさまざまな利便性の提供に過ぎないと感じた。もちろんこうしたファッションテックは、一定の利便性を提供してくれるので確実に便利になっている部分も多い。では新しい体験価値を提供している事例はあるのかと言われれば、お金を払わなくていいという体験を提供しているamazon goや、バーチャルフィッティングくらいだろうか。

PARCO CUBEエリアには時間の都合で体験できていないものもまだまだあるので、追ってGASKETで紹介していきたいと思う。

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