【渋谷PARCO】Vol.01 BOOSTER STUDIO by CAMPFIREは現代版「王様のアイディア」だ

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渋谷PARCOが11月22日にリニューアルオープンした。渋谷という街、PARCOという業態が新たに展開する施設だけに、注目度は非常に高い。GASKETではこの渋谷PARCOを何回かのシリーズで取り上げることにした。1回目はクラウドファンディングのCAMPFIREがPARCOとはじめた「BOOSTER STUDIO by CAMPFIRE」のショールーム店舗である。

BOOSTERは、クラウドファンディングのCAMPFIREとPARCOの共同プロジェクトで、クラウドファンディング中、あるいは発売中の商品を渋谷PARCOの店舗でのリアルな販促の場として提供するものである。

店内の様子。壁面にはディスプレイが3箇所

幅60センチ、奥行き38センチのスペースとタブレットが用意され、タブレットにはBOOSTER上で開催中のクラウドファンディングの該当ページが表示される。提供スペースが狭いので大きな物は展示することができないし、説明パネルなども置けないので、客はタブレットを操作して商品やプロジェクトの詳細を知ることになる。詳しくはWebでというわけだ。提供料金は月額5万円+従量課金、または月額30万円の固定料金である。

60センチ✕38センチの狭いスペース

天井には複数のカメラが設置されている。このカメラで店内の回遊状況、どんな属性の人が興味を示したか、どういう操作をしたか、どこでつまずき、どこで諦めたかなどを解析できるとしている。店内の壁面に設置されたディスプレイには取得している情報の内容や扱いに関しての説明表示をしている。

「匿名加工」という表現が若干気になるところではある

設置されているカメラの台数や状況から、来店者の属性や店内の回遊状況はかなり詳細に把握できると思われるが、それ以上のことがどこまでわかるのか、GASKET的には気になるところである。またディスプレイに表示されている内容を客が見てどう思うのかについても気になる。こうしたカメラの利活用はまだ始まったばかりであり、個人情報やプライバシーに十分配慮して行うことは当然として、そのことを顧客に告知すること、その告知方法はどこまでどうやるのが適切かつ現実的なことなのか。そしてそれらを顧客は受け入れるのかどうかという点である。いわゆる社会受容性の話だ。こうしたテクノロジーを利用しようと考える会社はこうした点について十分に配慮する必要がある。

壁面のこのディスプレイについては、「カメラ画像利活用ガイドブックver2.0」を遵守しているなど、現在は上記の情報が表示されている。取得したデータに応じてデジタルサイネージ的に表示情報を可変しているわけでは今のところ無いが、デジタルサイネージコンソーシアムの策定したセンシングサイネージガイドラインとそのシンボルマークをここでも表示してもらえるといいと思った。

センシングサイネージのシンボルマークの例(白黒版もあり)

BOOSTER STUDIOはいくつかの点から注目に値する。まずはクラウドファンディングのショールームであること。ショールームなのでここで購入することはできないし、商品を持って帰ることもできない。クラウドファンディングであるので、商品の現物を展示できないことも多いが、プロトタイプやモックアップであっても現物を体験できることは重要だ。そして説明はすべてWebをタブレットに表示するだけという点はスペースがスッキリした空間になる。

Webを起点に考えると、PARCOに来れば現物が見られることは顧客にとっては大きなメリットであり、安心につながる。店舗を起点に考えると詳細説明や接客、購入決済はWebに任せることができることになる。

少しだけ不思議に感じたのは、タブレットで商品ページは表示しているが、そのURLのQRコードは表示されていない。商品横にシール化して貼ってくれれば帰りの電車の中で詳しく検討することもできる。

こうしたショールーム、ショールーミングのスペースが渋谷PARCOにできた意義は大きい。これがどう受け入れられるのか、どう発展するのか。他の場所でも成立しうるのか、あるいは近未来の店舗はこういう姿なのかなどベンチマークするべきポイントが非常に多い。テレビショッピング事業者がリアル店舗やリアルイベントを開催する例はかなり以前からあるのだが、クラウドファンディングベースである点とターゲットの年代属性が大きく異る。

渋谷という場所柄、デートや買い物のついでにふらっとBOOSTER STUDIOに立ち寄って、偶然にクールな商品と出会うことができる場所。そうだ、これは現在版「王様のアイディア」であると感じた。

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