【InterBEE2019】Vol.07 都市のメディア化はビルにディスプレイを付ける話ではない。深圳市&渋谷

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なんと素晴らしいことだろう。InterBEEで「都市」をテーマとしたセッションが行われた。パネリストはエクサイジング・ジャパンの川ノ上 和文 氏、深圳市青年聨合会の邱 洪延 氏、東急不動産株式会社の伊藤 秀俊 氏、モデレータは合同会社CCNの安藤 嘉康 氏である。

邱氏による深圳市の現況報告の後に、現在進行系の100年に一度と言われる渋谷の再開発に携わる伊藤氏は、「多様性の街渋谷はたまざまな人が集まり、それらの関係性がまた多様性を生む。それを増幅させるために、たとえば「渋谷をつなげる30人」というプロジェクトを行っている。渋谷をつなげる30人と聞くと、30人の有識者会議のように聞こえるのだがそうではなく、渋谷区の企業・行政・NPO市民の30名が参加し、連携して「つながり」を深めながら、課題達成のためのビジネス活動を約半年かけて立案・実行するまちづくりプロジェクトで現在は第4期が進行中」と話した。

深圳市 青年聨合会 副秘書長 邱 洪延 氏
東急不動産株式会社 都市事業ユニット 事業戦略部 まちづくり共創グループ 伊藤 秀俊 氏

深センと日本を行き来している川ノ上氏は、ハイテク都市として伝えられている深センのいまについて、たとえばQRコードから顔認証の端末がこの半年で大きく増えたことを指摘しながらも、使っている人を見たことがないと話した。自転車などシェアリングサービスも単体では利益は出ていなくて、トータルで見た特にデータ収集できているとことに意味があると、表面的なことだけではない深センが発展し続けている本質部分を語った。

エクサイジング・ジャパン/翼彩跨境科創服務(深圳)有限公司/ Aeronext Shenzhen Ltd., CEO 川ノ上 和文 氏
合同会社CCN 代表社員 安藤 嘉康 氏

どうやら深圳と渋谷は「多様性」が共通点であるようだ。筆者は今の渋谷の再開発の原型となった調査報告書の作成に携わったが、その時から渋田の特徴は、鉄道と高速道路で4分割された谷底地形という空間的特性と、多様性であるという内容であった。深圳にもこの1年で2回訪れたが、なんと言っても年齢が圧倒的に若いことだ。深圳全体が渋谷センター街状態であると言っても全然間違っていない。そこから感じるパワーだったり、危うさだったりは2つの都市に共通している。

川ノ上氏による「深圳の特徴」

多様性以外にもどちらの都市も「つながり」や「絆」を大切にしているという話題になったが、筆者はこれについては今ひとつ腹落ちはしていない。「渋谷をつなげる30人」はとても良い取り組みだと思うが、それが街に影響しているのか、街から生まれたかと言われるとそうではなく、行政だったり東急だったりが主導したものでしか無い。深圳については中国という国家の中での役割というものがまずあって、行政が強力に主導しているのは間違いない。そうでなければアレだけのビルでライトショーができるわけがない。それは渋谷を見れば明確で、渋谷スクランブルスクエアの壁面のLEDディスプレイですら、設置と運用については大変な苦労を必要としたと聞いている。

都市のメディア化というのは、決して大規模ライトショーをやったり、規制緩和してビル壁面にディスプレイを付ける話ではない。様々な人が集まり、さまざまな情報が行き交う場としての都市のあり方を考えることだ。InterBEE的には、あるいはGASKET的には、そこでテクノロジーは何をすることができるのかということだ。このテーマはこれからもずっと議論されるべきものである。

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