ノジマのダイナミックプライシングを体験してきた

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ダイナミックプライシングは、市場の需要や天候に応じて価格を柔軟に変える方法を指す。ホテルや航空券の購入では、このダイナミックプライシングが当たり前になっている。

最近では旅行業界だけでなく、小売業にもこの波が押し寄せてきた。今まで店頭で商品価格を付け替えるのはとても大変な作業だったが、デジタル技術の進化で、ダイナミックプライシングを導入するチェーンが出始めている。

特に、アマゾンや競合店舗と激しい価格競争を行っている家電量販店の動きが活発だ。家電量販店は競合店の料金設定や商品の売れ筋などの状況などに応じて、価格をその都度変更してきた。紙の値札を印刷し、店頭の販売員が値札の値段を張り替えるなどしていたため、手間と時間とお金がかかっていた。

このダイナミックプライシングをノジマやコジマなどの家電量販店の一部の店舗がテスト導入していた。デジタル表示する「電子棚札」を使い、本部が遠隔操作で商品の値付けを随時変更する仕組みだ。ノジマはこのダイナミックプライシングを全店で採用し、価格の優位性と顧客満足を高める戦略を採用したのだ。このニュースに興味を持ったので、早速近所のノジマの店舗を覗いてみた。

「電子棚札システム」は、価格の一括更新やセール・商品情報の提示などにより、店舗の業務効率化をサポートする。POSデータと価格表示を連携させることで、店頭の棚札の価格表示を正確かつスピーディーに更新でき、作業ミスも削減できる。土日限定価格や今日のお買い得、緊急値下げなどPOPの役割を果たしている。

ビッグデータ分析行い、柔軟に値段を提示することで、ノジマの価格への信頼性は高まるはずだ。電子棚札システムによって、これまで価格変更などによる棚札の貼りかえに要していた膨大な作業時間を短縮し、店頭での接客対応に時間を充てられる。ノジマの店員は本来の仕事である接客に集中でき、チャンスロスをなくせる。カスタマーサクセスという視点でも顧客の満足度は高まるはずだ。

最近の顧客はアマゾンやECサイトの方が価格が安いと感じている。ダイナミックプライシングによってECサイトと同価格が提示できるなら、家電量販店で購入する顧客は増えそうだ。実際に店舗で製品を試したり、店員に質問したい顧客は一定数いるはずだ。家電が進化し、操作が難しくなる中で、商品提案力のある店員が顧客とのコミュニケーションを的確に行えば、ショールーミングを減らせ、アマゾンなどの顧客流出を防げる。

デジタル技術の変化やAIの普及で、リアル店舗でもダイナミックプライシングが当たり前になれば、今後は価格戦略の巧拙や顧客対応が勝負の分かれ目になるだろう。ビッグデータ分析で過去の販売実績や店頭在庫、天候、アマゾンや他社の料金設定などを総合的に分析し、的確な価格を提示できる企業が勝ち組になるはずだ。小売もデジタル投資が成功の鍵になってきた。