【IBC2019】Vol.11 Nikonの子会社のPOLYMOTIONのAIカメラ制御システム

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ニコンが2016年に買収して100%子会社となったMRMC(Mark Roberts Motion Control Limited)のAIカメラシステムがPOLYMOTIONである。

POLYMOTION PLAYERは、サッカーやラグビーなどの選手(PLAYER)を自動で追尾するものだ。カメラ自体は必ずしもニコン製品である必要はなく、提供されるのはAI解析エンジンとカメラを動かす雲台である。最大12台までのカメラ制御可能である。興味深いのは、それぞれのカメラが単純に選手を追いかけるのではなく、メインのカメラはカメラマンがオペレーションをして、それに対して他のカメラはフィールド上のどこでプレイが進行しているかを認識し、アングルなどを最適化、連動した動きをする点である。

問題はセッティングで、カメラリハーサルなどができないスポーツの現場において、いかに素早くセッティングを行えるかが鍵である。

もう一つのPOLYMOTION CHATはスタジオ用の人物AIトラッキングシステムである。こちらやニュースや天気予報などにおいて、小さめのスタジオで制作するためのものである。こちらのほうが人物の動きに対してカメラワークは微妙なものになるので、前述のスポーツの場合とは違う意味で難易度が高い。

このようなカメラにAIを導入して行く動きが加速している。カメラマンの人件費削減、プロフェッショナルなカメラワークの共有、人が入り込めない場所からの撮影など、もたらされるメリットは大きい。スポーツやスタジオ物というのは展開される空間が限定されているし、スポーツであればルール自体も固定であるので、単純に人の動きだけではなく、試合開始とかゴールが決まったあと、コーナキックなどを自動または手動でAIに伝えてやることで、場合によっては人間よりもいい絵を撮る可能性もある。

こうしたカメラワークの自動化と、その先のカメラのスイッチングにもAIが導入されつつある。おそらく10年後にはスポーツやニュース、スタジオ収録のバラエティなどの大部分の撮影とスイッチングが自動化されているのだろう。


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