「飛び恥」を意識する全日空がはじめる瞬間移動プラットフォーム

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CEATEC JAPANに1時間だけ参加してきた。目的は全日空が2020年からはじめるという瞬間移動のプラットフォーム「avatar-in」を体験するためだ。これはアバターと呼ばれるロボットを遠隔地から操作することによって、実際にその場所にいるような体験をすることができるというもの。これはその場所に行かなくてもいいサービスであるので、輸送業を生業とする全日空からするとこらからはもうヒコーキに乗らなくてもいですよと言っているようなものである。

トヨタ自動車の豊田章男氏が「トヨタは自動車会社からモビリティカンパニーになる」と宣言したのに匹敵するほどの決断だと思う。

CEATEC JAPANの全日空ブース

GASKETが体験したのは遠隔ショッピングである。デモは銀座の三越の時計売り場に「newme」と名付けられたアバターと売場担当者がいて、幕張メッセの全日空ブースにはノートパソコンが置いてある。パソコンの十字キーでnewmeを操作して時計売り場の中を移動しながらウインドウショッピングをする。newmeにはカメラが付いているので、店内の様子がパソコンにリアルタイムで表示される。

売り場の店員とはマイクで会話ができるので、特定の時計をよく見たいと思ったらお願いすることができる。店員は時計をカメラの前に近づけて詳細がわかるようにしてくれる。

右手前のノートパソコンでアバターを操作する。奥のディスプレイはノートパソコンの画面を大画面表示してショッピングをしやすくしようとしている。
遠隔ショッピングのコンセプトメッセージ

要するに売り場からの生中継である。確かに銀座に行かなくてもいい。ただしnewmeは下の写真のようなロボットなので、動きには制約があるし、ショーケースを開く事はできない。もちろんやればできなくはないだろうが、現実的な感じがしないのは明らかだ。そのため売り場に人が介在する。

そこでGASKETは思うのだが、どうせ現場側に人間が必要なのだから、アバターではなく担当者がカメラとヘッドセットをつけて顧客と会話しながら接客したほうが圧倒的にいいのではないだろうか。

avater-inでは他にも遠隔授業、遠隔で釣り、パワードスーツを着た人の動きを遠隔地で再現して料理を作るななどのデモしている。これらは正直疑問が残ってしまうのだが。

遠隔で釣り!

冒頭に書いたように、運送業者が運送をしなくても良いビジネスを考えていること。これが何よりも重要だ。瞬間移動やワープでも実現できるようにならない限り、人や物の移動は必要不可欠であることは言うまでもない。ウインドウショッピングとか、美術館に行くという行為は、主に視覚、あと音声が伝えられれば実際に現場に行かなくてもいい部分は一定数あるとGASKETは考えている。

ただし、それには絶対必要な条件がある。リアルタイム、ライブであることだ。予め収録、編集された美術館の映像は現実味に欠け、自分ごととして感じにくい。それは4Kや8K、360VRになったとしても同じことだと思う。いまルーブル美術館にいる人にカメラとマイクを使って自分のためだけに館内を支持に従って歩き回り、クローズアップしたり、あるいは旅行ガイドの人がそうしているようにいろいろな会話をする。時差なども微妙にリアルに感じられるはずだ。映像の高解像度化、アバターのロボットとしての機構部分の精度を仮に何倍にも上げたとしても、生身の人間にはかなわない。なにより現地で雇用を生むことができる。

もう一つ大事なことは、avatar-inはプラットフォームを目指していることろだ。さまざまな利用シーンに対応できるようにプラットフォームでありインフラとして提供させていきたいということである。トヨタのe-Paletteと同じ考え方だ。

Uberなどと同じように、空いている時間を登録しておくと、自分の家の近所の観光ガイドとか、買い物の代行、老人の見守りなどの依頼が来る。そういうプラットフォームはかならず来るように思うのだ。

航空機を利用する人は僅かに6%しかいないのだそうだ。また最近KLMオランダ航空が、環境問題から電車に乗ろうキャンペーンをはじめたし、「飛び恥(FLYgskam(フリュグスカム)」という言葉も生まれている。例えばタバコがそうなってように、飛行機に乗ることは恥ずかしいことだという考えが浸透する可能性はゼロではない。声高には言わないが、全日空はそこを見越しているのかもしれない。GASKETはFIRST AIRLINESも体験済みだが、こういうニーズはあと数年でブレイクするのではないだろうか。

avatar-in