クックパッドマートは、2018年9月にスタートした生鮮食材を取り扱うオンラインショップだ。個人商店や農家などの小規模な販売者や生産者が取り扱う商品を専用のスマートアプリで購入できるECモールなのだが、このサービスの大きな特徴は、個配を行わないところだ。ドラッグストアやカラオケボックスなど、地域の店舗や施設のなかにオリジナルの冷蔵機能付きの宅配ボックス「マートステーション」を設置しており、購入者はどの宅配ボックスで受け取るかを指定して注文し、そこまで出向いて商品を受け取る。個配をなくすことで配送コストを抑え、1品だけの注文でも配送料無料を実現している。








規模は小さくても、テクノロジーと工夫によって生活者まで低コストで届ける流通プラットフォームを用意することで、生鮮を取り扱う小規模店舗や生産者が、商圏を20〜30キロ程度に広げることができる。東京新宿区を受け取り地点に指定した場合、東京や神奈川の農園や直売所、商店の商品が、送料を気にすることなく1個単位で買える。2019年8月28日からは、午前8時までに注文すれば、当日17時以降には商品を受け取れるアップデートを行えるようになっている。

ただ、地産地消を実現する小規模の流通プラットフォームを構築し、生産者と生活者をつないでいくことで、「どのようなメリットを提供できるのか」については、まだ尖ったものが出せていない。たとえば、献立の提案からネットスーパーへの注文までを一元的にサポートするアプリ「タベリー」の場合は、これによって献立の悩みと買い物の時間をほぼゼロにできることにメリットを集中させている。そこに魅力を感じることができれば、これまでスーパーに通っていた人も生活を変化させてしまう可能性がある。それに対してクックパッドマートは、「ちょっといい商品がある」に留まっている。ただ、この小規模でも低コストで運用できる流通プラットフォームには、もっと大きな可能性があると感じる。さらなる進化と、それを活用したさらなるサービスに期待したい。