【IBC2019】Vol.05 メディアやエンターテインメントでのAIと機械学習

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IBCでの300本を超えるカンファレンス、セッションの中で、サマリーとタイトルで判断する限り、AIをテーマにしたものが今年は30本も開催された。これらはAIと機械学習(マシンラーニング)と深層学習(ディープラーニング)の違いのような基本的なものから、メディアやエンターテインメント業界の上流から下流、つまり制作から配信までの各プロセスごとに解説するもの、制作過程に特化したもの、ユーザー側の体験に関するものなど幅広い。

これらに関して現状と今後という2つの軸でまとめてみると

AIや機械学習による現在のM&Eのオートメーション(自動化)の実現状況
・コンテンツの検出と識別
・メタデータ精度の強化
・異常検出
・広告の検出と挿入
・要約とハイライトの生成
・サムネイルの選択と生成
などで利用が始まっていて、上位のものほど浸透している傾向がある。特にメタデータの生成に関しては、まだ正確さに欠ける部分もあるが、映画などの出演者検出のような限定的な用途であれば実用レベルに達し始めている。

今後のM&Eのオートメーション(自動化)
・コンテンツのパーソナライズ
・ストーリー分析
・コンテンツ生成と差し替え
・感情分析
・格付け
・類似性検索と盗作検出
・インタラクティブな映画
・リアルタイム(動的)なコンテンツの分類

こうしたAIや機械学習のメディアやエンターテインメントでの利用は、利用者の利便性の向上と制作者の効率化という2つの側面がある。これらは決して単独や別々で機能することではなく、表裏一体となって効果を上げるものである。メタデータの生成が自動化されることによって、提供されるレコメンドの精度が上がる、というようなことだ。

そして重要になるのは、このマシンパワーを活かす学習ライブラリーである。Scikit-learn、TensorFlow、Chainer、Caffe、CNTKなどのライブラリーは、グーグルやマイクロソフトのような大手が膨大な費用、知見、頭脳を駆使して構築しているものであり、ここを普通に簡単に手を出せる状況ではない。ここが課題といえば課題で、CPUをインテルとAMDとARMくらいしか作れていない話に似ている。

つまり、ここは重要なのだが、TensorFlowを使ったディープラーニングでオブジェクト検出するのと、インテルのCPUでパソコンを作るのは同じ話である。差がつくところと差がつかないところの認識をはっきりさせておく必要がある。

たとえばメタデーターの精度をAIで上げるということを考えると、AIを使うことなくそれを生成したメタデーターがどういう利便性、サービスを生んでいるのかということに認識し、今後それが低コストで正確なものを得られるようになれば今できないことができるようになるのか、という点を見通す必要がある。もしくはそうなることを見越して今からできることをやる、市場を創ることが重要なのである。

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