スペイン国境に近いポルトガルの宿にサイネージが置かれている理由

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ポルトガルの首都リスボンから車で3時間ほど北東に走った、スペイン国境にほど近い天空の村、マルヴァンに3日ほど滞在した。村にはマルヴァオン城という9世紀に建てられた城がある。標高は900メートルほどで、常に偏西風を感じる360度の眺望と、それでいて朝夕は驚くほどの静寂に包まれる素晴らしい村である。なんと言っても観光客が極端に少なく、それ目当ての土産物屋もほとんどない。

マルヴァオン城から村を見下ろす。ちょっとマチュピチュっぽい?

ここには古城があるだけで特に何もない。山岳リゾートという位置づけにもならず、いい意味で時間が止まったままの集落である。歩いて20分もあれば一周できてしまう。唯一残念なのはレストランが絶望的にダメである。食は期待しないか、近隣まで車で出かけることをおすすめする。村には宿泊できる施設が4,5箇所あるが、その中では最も高級で眺望も良いと思われるDOM DINISに滞在をした。 高級と言ってもB&Bみたいなもので、一泊11,000円くらいだ。

エントランスはごく普通

さてこの宿は素晴らしい夕日を見られることが何よりの特徴だ。条件が合えば雲海も出るらしい。

写真では伝わらない。。。

さて本題である。この宿には2つのサイネージが置かれていた。一つはレセプションのカウンターにフォトフレームがあり、夕景や村の写真が映し出されている。

9インチくらいのごく普通のフォトフレーム

もう一つは朝食時だけに使われるのだが、時計、天気予報、そして観光情報と写真である。観光情報と言っても、イベントは年に数回しか無く、どちらかと言うと村の歴史的なことを伝える内容だ。

朝食時に食堂になる空間に置かれたディスプレイ

コンテンツは自社でWEBベースで作ったんだそうだ。場の雰囲気としては正直デジタルものは似合わない、接したくない気がしないわけでもない。この村は大自然を体験すると言うよりは、空気を感じるところなので、デジタルものが邪魔で違和感があると言うほどでもない。そのあたりはオーナーは心得ているようで、フォトフレームは天候などによって当然見える景色も変わるので、様々なベストショットを集めたんだと言う。食堂の方もディスプレイも考え方は同じで、テレビは映らないので(衛星映るだろうが部屋にはそんな物は当然ない、必要がない)、主な目的は天気予報を出したかったというのである。このあたりも天候によって、宿での1日の過ごし方が変わるからだ。

あまりアクティブに行動するようなエリアではなく、プールがあるわけでもない。夜も飲めるところはあるが、バーで騒ぐような雰囲気は一切ない。天空の宿で風を感じるために訪れるべき場所であって、それをさり気なくアシストするためにディスプレイを使っているのだ。オーナーはデジタルサイネージという単語はもちろん知らなかった。

この記事は宿を出て10日ほどが経過した時点で書いている。きっと、わけもなく再訪したくなるだろうなと思ったが、確かにもうそう感じ始めている。