実録「株式投資型クラウドファンディング」第8回~住まいるサポート株式会社~

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DANベンチャーキャピタルが運営する「株式投資型クラウドファンディング」のプラットフォームGoAngel(ゴ―エンジェル)の資金調達実例を紹介するシリーズの第8回。今回は、高気密・高断熱住宅の普及促進事業を進める住まいるサポート株式会社を紹介する。

同社では全国の工務店をネットワーク。一般消費者のユーザーを会員化して、各工務店を通じて高気密・高断熱住宅を提供する。神奈川県横浜市の郊外に本社を置く住まいるサポート。横浜市と協力して住宅セミナーを開催するなど、高気密・高断熱住宅に関する啓蒙活動に力を入れている。

高気密・高断熱住宅のメリットは何といっても省エネにある。夏涼しくて冬暖かいことから冷暖房効率が高い。一般に建築コストは高くなるが、その後の冷暖房コストを考えたトータルコストは下がる。冬場のヒートショックや夏場の熱中症の防止にも有効だ。健康で快適な家として人気が高まっており、戸建住宅マーケットが減少する中で、高気密・高断熱住宅マーケットは拡大している。高気密・高断熱化を図るリフォーム需要も強く、こちらも成長マーケットだ。

一般消費者の潜在的なニーズが高い高気密・高断熱住宅市場への参入を図る工務店も少なくない。住まいるサポートではこのような工務店を提携住宅会社として広げ、会員ユーザーに紹介する。その紹介手数料が住まいるサポートの収益の柱である。

住まいるサポートでは、主にWEBを活用したマーケティング費用に充当するための資金調達を目的に、株式投資型クラウドファンディングGoAngelで600万円を目標募集額(上限募集額675万円)とする公募増資を行うこととした。募集ターゲットは、社長の知人・友人を中心とする拡大縁故募集(Family & Friends Finance)である。募集期間は、2019年8月5日から9月18日までの44日間。法律で投資者一人当たりの投資上限が1社につき年間50万円とさだめられており、申込コースは25万円と50万円の2コースとした。本稿を執筆している2019年9月20日現在、申込を行ったのは18名。申込金額の合計はちょうど上限募集額の675万円となった。GoAngelでは今回より、目標募集額に加えて上限募集額を定めている。申込みが目標募集額を下回った場合は募集不成立となって増資は中止となる。一方、申込みが上限調達額を上回った場合、上限調達額が増資額となり、上限調達額を超える申込みは無効となる。なお、9月20日現在、申込最終日から2日が経過しているが、現時点では申込撤回が可能な投資者があるため、675万円の申込金額は確定しているものではない。ただし、申込撤回可能期間は申込日から8日以内。現時点の申込撤回が可能な投資者全員が申込撤回を行っても、申込金額の合計は目標募集額を上回ることから、募集は成立した。

住まいるサポート㈱の設立は、2018年8月。GoAngelに登録されたのは、第1期の決算終了直後の2019年8月5日である。DANベンチャーキャピタルでは、設立3年以内の創業期の企業を対象とした特別メニュー、GoAngel for Startups (GAS)を開始したところ。住まいるサポートはその第1号となった。住まいるサポートの第1期の売上高は129万円。営業損益は1,867万円とまだ本格的に事業は立ち上がっていない。第2期には提携工務店からの紹介料収益が計上される予定であるが、先行するコストを賄う運転資金が必要である。

このような創業時の資金ニーズに対しては、日本政策金融公庫が国民生活事業として創業融資を行っている。また民間の金融機関においても信用保証協会の保証付き融資に加え、プロパー融資でも積極的に資金供給を行っているところである。一方で、創業期における必要資金の全額を融資だけで賄えないケースも少なくない。GASによるエクイティファイナンスを組み合わせることは、十分な額の創業資金を確保することに資する。

2019年8月末に開催されたDANベンチャーキャピタルと日本政策金融公庫のジョイントセミナー。創業期の企業経営者を中心に、定員40名のところ70名の申込みで盛況となった。返済不要の自己資金を調達するGAS。創業期の企業のリスク負担力を高めることを通じて、創業率向上へ寄与することにも期待したい。

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