採寸データが靴の購買体験を変える三越伊勢丹の「your FIT 365」

AI/IoT /

東京の新宿伊勢丹が2019年8月28日のリニューアルに伴い、スタートさせた「your FIT 365」は、足形計測装置で足の形を計測し、靴の情報とマッチングし、1000種類の商品のなかから最適な靴を案内するサービスだ。

店内にはアイウェアラボラトリー社の足形をとる3Dスキャナーが設置されており、事前予約のうえで訪問すると、スタッフが計測してくれる。

足の側面に目印となるシールをはって測定器内に足を入れる。
足の側面に目印となるシールをはって測定器内に足を入れる。
スキャン結果は、測定器のとなりにあるパソコンに取り込まれる。このデータに基づいてパンプスを中心に靴を案内される。
スキャン結果は、測定器のとなりにあるパソコンに取り込まれる。このデータに基づいてパンプスを中心に靴を案内される。

取った採寸データに基づき、スタッフが候補となるパンプスを選んで試着できるのだが、測定結果に一番近い木型の靴を選べばいいものではないらしく、実際に試着してみるとあまり合わないこともある。たとえば、足が柔らかいと、採寸結果の足の外周に合わせても、つま先側に足が入り込んでしまう。ひとによっては、7ランクも小さい方がフィットすることもある。また、革やスエードに比べてエナメルは固く包み込む力が強いため、素材の違いによっても履き心地が大きく変わる。採寸データは参考にはなるが、それだけで靴選びはできないようだ。計測結果をもとに試着を重ね、スタッフとの会話を通して最適な靴を選んていく必要がある。ただ、計測結果をもとに足の特徴について会話しながら試着を重ねるため、納得感が強く、また実際に的確なアイテムを紹介される。

試着を重ねてピッタリの靴を探していく。普通の靴選びに近いが、計測データをもとに足の特徴について話しながら進むため、納得感がある。
試着を重ねてピッタリの靴を探していく。普通の靴選びに近いが、計測データをもとに足の特徴について話しながら進むため、納得感がある。

また、三越伊勢丹アプリのユーザーであれば、アプリ上でもこの採寸データに基づいた適合率の高い靴を紹介してもらい、オンラインショップで購入することができる。

三越伊勢丹アプリからは、測定結果に基づき、適合率の高い商品を紹介される。
三越伊勢丹アプリからは、測定結果に基づき、適合率の高い商品を紹介される。
各商品を選択すると、適合率とおすすめのサイズが表示されるほか、スムーズな購買ができるよう、オンラインショップの商品ページへのリンクが表示される。
各商品を選択すると、適合率とおすすめのサイズが表示されるほか、スムーズな購買ができるよう、オンラインショップの商品ページへのリンクが表示される。
先程の画面の「オンラインショップ」をタップすると、伊勢丹のオンラインショップに遷移し、サイズや色を選択すればそのまま購入できる。
先程の画面の「オンラインショップ」をタップすると、伊勢丹のオンラインショップに遷移し、サイズや色を選択すればそのまま購入できる。

ただ、採寸データだけでは靴選びができないことは先述のとおり。また、店頭で試着を通してスタッフからもらえるアドバイスも、いまはまだここには反映されない。そのため、ここの適合率だけを信じて購入するのはリスキーだ。店舗に精細な採寸を可能とする計測器を設置し、そこでの計測データを顧客データとして保持、オンラインショップも含めた購買を支援するのは、チャネルを超えた顧客体験となっており、OMO的な視点を持つ意欲的なサービスだが、いまのところはまだ発展途上といったところか。測定を担当してくれたスタッフも、来店して試着をしたうえで購買するように勧めていた。今後、試着することなく最適な商品を紹介してもらえる可能性について聞いてみたが「購買履歴や、それぞれの靴の履き心地を反映させていけば、将来的にはAIだけで的確な商品を紹介できるかもしれませんね」とのことだった。ZOZOの「ZOZOSUIT 」やユニクロの「MySize CAMERA」など、センシングした計測データを顧客サービスに利活用しようとするケースが増えているが、靴においては、まだこれからといったところか。