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PoEはエッジコンピューティングを救うか

AI/IoT /

エッジAI(エッジコンピューティング)を利用したい現場、特に、AIカメラへの需要は益々増えていくだろうことはGASKETでも何度か述べてきた。特に、レイテンシの問題とプライバシー保護の問題からエッジサイドで処理をするというトレンドはここしばらく続くものと思われる。

机上ではエッジAIが動き、見事にピープルカウンタの機能も実現できたとしよう。ここで実用レベルにするには幾つか乗り越えなければいけない課題が発生する。

①機器自体の安定性

②物理的な接続問題

①に関しては何度も述べてきたが、カメラは大抵の場合、設置環境が厳しい。温度、粉じん、防水、などへの対応だ。少なくとも現時点で低価格でエッジAIを簡単に動かせ、かつ耐環境性能をきちんと謳ったカメラは存在していない。これは時間の問題で、恐らく2019年後半から2020年にかけて色々なメーカーがこの観点から参入してくるのではないかと考えている。

②の問題は、まずデバイスに電源をどうやって供給するか、ということと得られたデータ(例えば人数カウントのソリューションだと、性別認識、年齢認識、人数、等実体ではないメタデータ化されたもの)をサーバなどにどう送り込むか、という二つの課題である。

データは無線LAN、サブギガの小電力通信等、無線、すなわち物理的接続がなくても何とか方法がある。しかし、電力供給の問題が残る。そして、エッジデバイスが高速化、高機能化するに従い、消費電力が増大していることもこの問題に拍車をかける。ACアダプタだけでもどんどん巨大化していくのである。ちなみに、JetsonNanoをフルスペックで使うと5V4A必要であり、余裕を見ると25WクラスのACアダプタが必要になる。ちなみに、こんなACアダプタはその辺りに転がっていないし、そもそもACアダプタによく使われている汎用のコネクタは電流容量の点で本来は使ってはいけないのだ。

そこで思い浮かぶのが、PoE(Power over Ethernet)だ。これはイーサネットのケーブルを使い、通信と電力を同時に繋いでしまいましょう、という技術。今まで、IPカメラなどでは極めて一般的な技術であり、使われている場面も多い。Ethernetのケーブル1本だけ配線すれば済むからである。(PoE対応ハブとか、スイッチは導入する必要がある。)

下表は、PoE規格をざっくりとピックアップしたものだ。

一方デバイス側というと、RaspberryPiにはPoEハット(後付け基板)がリリースされているが、TinkerBoardではリリースされておらず、RaspberriPi用のものを流用している猛者も存在しているようだ。JetsonNanoではボード上に対応ジャンパピンが用意されているようだが、きちんとしたアナウンスはされていないようだ。

非接触給電技術が20W以上簡単に供給できる時代が到来すれば、一気に非接続AIカメラの設置問題は改善されるだろうが、それまでの間はもしかすると、PoEはこの分野で検討する価値があるのかも知れない。

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