リスボンの地下鉄ではスマホを使う人が極端に少ない

Digital Signage /

20年ぶりにリスボンの地下鉄に乗った。当時はデジタルサイネージやサインには特段の興味はなかったが、今回はそうした目線で見ると気がついたこともたくさんある。

まずドア上には路線図のみ。もちろんアナログである。なおこのデザインは、実際の地形上の位置関係は方向方角とは全く合っていない、完全にこの横長の空間にデザイン優先で配置されている。参考までに実際の位置関係を反映した路線図を次に置いておく。

旅行者である筆者ですら、あるいは旅行者であるからこそだろうか、最初とても混乱した。目的地の駅が思っている方向ではないところに記載されているからだ。もしかすると慣れてしまえば、あるいは住民は気にならないのだろうか。

車両内の連結部分にはこうした行き先案内と次駅名表示のみを行うLED電光板がある。もちろん欧州の多くの鉄道がそうであるように、車内アナウンスなどは何もないので、たったこれだけの表示でも十分助かる。なぜならば電車に乗っている人にとって最も必要な情報は、自分の降りる駅を知ることであるからだ。

駅のコンコースにはところどころに観光用の案内サイネージが設置されている。これは別途詳細を紹介したい。

今回リスボン市内では何回か地下鉄に乗ったが、一つ特徴的なことは、車内でスマホを使う人、見ている人がこの数年で筆者が出かけた世界のどこの地下鉄よりも少ないことだ。通信状況には何の問題もなく、筆者のローミングは普通に利用できている。特別本や新聞を読んでいる人が多いというわけでもなく、同行者と話しているわけでもなく、ただとにかくスマホを使っていない。ポルトガルのスマホ保有率の統計が見つけられなかったので、持っていないのか使わないのかははっきりしない。

ポルトガルは世界を制覇した時代からすっかり成熟した国になっているというのが筆者の印象である。デジタルやITからの戦線離脱感が強い。そもそも第二次世界大戦には事実上参戦していない。もっと大切なことを知っているからなのだろうか、スマホに価値を見出す人が他の国に比べて少ないのではないだろうか。実際にデジタルモノが人々を便利にすることはあっても、心豊かにしてくれるとは到底思えないからだ。